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作品名:斎藤マリー ストーリー 作者:なおちー

第22回   「同志生徒会長!! ナツキ会長!!」
12/28 午前8時過ぎ

「同志生徒会長!! ナツキ会長!!」

保安委員の責任者・イワノフは息を切らせて走っていた。
無骨な軍人、冷静沈着を絵に描いたような彼が
取り乱す様子からは、いかにも大事件の香りがする。

「その通りだ!! これ以上の事件があるだろうか!!」

誰に対して突っ込んだかは分からない。

イワノフは会長の住居を兼ねている生徒会本部の扉を開く。
驚く護衛とナージャに事情を話し、なんとこの時間まで
寝ていたナツキを叩き起こすことにした。

「せっかく良い気持で寝ていたのに、
 君のせいで台無しだぞ、イワノフ!!」

上下スエット姿のナツキ。いかにも高校生らしい格好だ。
寝癖がこれでもかというほどついていて、
普段の彼とは違って可愛かった。

「僕はミウの夢を見ていたんだぞ!!」

「ミウ…? 今はそんなことどうでもいいだろうが!!
 なんで会長のくせに8時まで寝てるんだよ!!」

「いったい何の用だ!? 報告か?」
「そうだ!! 報告だ!!」
「よし、申せ!!」
「では単刀直入に述べる。日本全体で革命が起こりそうだぞ!!」

ナツキは、眠たい目元を何度もこする。
ベッドサイドにあるペットボトルの冷水を飲み、
深くため息を吐いた。

「実に詰まらんジョークを聞かせてくれたね。
 君が言っているのは社会主義・共産主義革命の
 ことだろうが、日本全体で? 栃木だけなら分かるが」

「これがマジなんだよ!! スマホ見ろよスマホ!!」

ナツキはスマホでニュースをチェックした。
みるみるうちにナツキの顔が青ざめていく。
青かった顔は、今度は完熟トマトのように赤くなり、
口を大きく開けて

「わははははははは」

バリトン歌手(声楽)並みの声量で笑うのだった。

ニュースサイトには情報が逐次更新されている。
彼らの使っているラインアプリは、栃木・ソビエト社会主義共和国が
管理している特殊なものだ。資本主義特有の情報操作を
受けずに、正しく、有益な情報だけが更新される仕組みとなっている。

「学園生活」では栃木県で社会主義革命が起きているという設定だ。
 栃木県は日本の行政区画から分離独立し、
「栃木・ソビエト」を名乗っていた、ということにしよう…。(小声)

「それが今回はすごいんだよ!! さすがのお前も驚くだろ!?」
  小さな宝くじの二等賞が当たった主婦のようなノリのイワノフである。

「北関東・ソビエト連邦?」

ナツキは半信半疑でニュースの内容を読み上げていく。

「栃木、群馬、埼玉、茨城で同時多発的に革命が発生。
 各地の軍、警察はソビエトの指揮下に入った。
 県庁や市役所などが革命市民の焼き討ちに会い、死傷者続出。
 道路には無数の戦車とヘリコプターが展開……? なんだこれは…?」

日本国は戦後、GHQの保証占領期間を経てから主権を取り戻した。
70年代の沖縄返還以降、全ての日本領土は日本国政府の管理下に入った。

しかも我が国は米や独のように州でなく、フランスと同じく県政を取っている。
企業が東京一極集中していることがよく強調されるが、
行政的にもかなり中央集権的である。

国民の大半は政治に関心がなく、周りにいる大人に聞いても
各政党名から与党の大臣の名前も知らないレベルだ。
自分の税金の使い道が気にならないのか不思議でならない。
(私の住んでいる地域が田舎だからなのか……?)

政府に対し反動、暴動が起きないほど(永田町のデモはあるが…)平和ボケしており、
学校では子供同士が喧嘩をすれば母親がヒスってモンペと化すほど平和である。
馬鹿らしい。人間同士が同じ環境にいて対人トラブルがないわけがない。

体罰や制裁も各教育現場やスポーツ界で大きな問題となっている。
まあ、体罰は筆者もダメだとは思うが、
このくらい日本では「暴力的要素」が排除されているのである。
革命とは「国家権力の破壊のために暴力を推奨」することである。

我が国が島国で、強力な日米安保体制で保護されていることを
考えても、戦争が起きる可能性もほぼ0パーセント。

仮に北朝鮮が弾道ミサイルを10万発持っていたとしても
絶対に日本を攻撃してこないと断言できる。
理由は非常に簡単で、日米安保に基づく米軍の報復(空爆)が怖いからだ。

こんなことは近代の軍事史と外交史を
少し勉強すれば誰にでもわかることである。

日本で革命など起きるわけがない。
それは筆者が誰よりも理解している。
だがこの物語では起きてしまった。

なぜなのか。

レーニン「このスイッチなんだ? 押してみるか」 ←前話参照

ドラえもんの独裁者スイッチは、押した人の願いを叶えることが
できたと思う。確証はないが、たぶんそんな設定だった気がする。

この世界のレーニンはなぜか栃木県で生まれ変わり、
普通に生活している。そして行きつけのラーメン屋さんで
たまたま独裁者スイッチを見つけ、押してしまったのだ。

レーニンら悪党四人組は、栃木県を水面下で革命させることに
成功していたが、ご近所さんである北関東三県ではまだまだ
資本主義の影響が強かった。日本なのだから当然だ。

(北関東全体で革命が起きればいいのになぁ……。
 地続きで強力な軍隊を保有して東京に攻め入りたいぞ。
 あと茨城は太平洋側から武器弾薬の揚陸とかできて便利だ)

零人(漢字表記)がそう思った五分後には、
なんと北関東・ソビエト社会主義共和国が結成された。
ドラえもんの力は神の力すら超越しているのかもしれない。

ちなみに…橘エリカの祖先の故郷はグルジア。
グルジア、アゼルバイジャン、アルメニアを
まとめてカフカース地域(山脈)という。

(黒海沿とカスピ海沿岸部の油田の産出量は世界有数であり、
 穀倉地帯のウクライナと並んでソ連の生命線であった。
  逆にいうと、このふたつの地域を占領されたらソ連は終わる)

ソ連建国時は、

ロシア・ソビエト社会主義共和国
ウクライナ・ソビエト社会主義共和国
ベラルーシ・ソビエト社会主義共和国
カフカース・ソビエト社会主義共和国

上の四つの共和国でソ連を形成した。

作中の日本では、「北関東」がソビエト共和国を形成した。
しかし、これだけでは大した問題ではない。
北関東は、関東平野と山岳地帯を含む広大な地域だが、
所詮は日本の本州の一部に過ぎない。
わが国には、強力な陸海空の自衛隊がいる。

自衛隊は、高度にハイテク化された武装戦闘集団である。
訓練の質は、「帝国時代から少しも変わっていない」と評判である。
これは兵隊の質がほぼ世界の最高水準であることを示している。

一年前に見た、ネバーまとめサイトの各国の戦力ランクでは、
自衛隊は世界9位くらいにランクされていたと記憶している。

それ以上に問題なのが、米軍の存在だ。日本、韓国、グアム島などに
点在する恐るべき米国軍。アカ(共産主義者のこと)の存在を知ったら、
即攻撃、殲滅するのが彼らの流儀である。

アメリカほど共産主義者に容赦のない国は、
全世界を探しても存在しないことだろう。

そしてアメリカを敵に回すと言うことは、地球そのものを
敵に回すのと同義である。現在のアメリカの軍事力だが、例えば
海軍だけに限定しても、原子力空母10隻と艦載機1000機を持っている。
その他、ミサイル駆逐艦、原子力潜水艦など無数である。

これらが分離して配備され、『10個の空母打撃軍』を形成し、
世界中の海域で睨みをきかせている。
空母打撃軍は、一つの艦隊としては最強の攻撃力を持つ艦隊である。

なんと、一個の空母艦隊で小国の軍事力を上回る(粉砕できる)という。
繰り返すが、これをアメリカは10セット持っている。

何より恐ろしいのが、アメリカ海軍は、3年半にわたる太平洋戦争で
日本海軍相手に死に物狂いの「戦闘を経験したこと」だ。
人類史上初の高度な空母航空決戦を経験した米国は、ついに日本海軍を撃破した。

当時の軍隊で、空母を艦隊規模で運用できたのは日米英のみであった。
例えばドイツ、フランス、ソ連などは「空母の設計図すら」持っていなかった。
彼らは大陸国だから仕方ないのもあるが。

アメリカは、神風特攻隊などの熾烈な攻撃を受け
例えば沖縄戦だけでも……展開した全艦隊1400隻中、
被害にあったのが360隻(小、中破含む。沈没はわずか)
もあるのだから驚きである。

ミッドウェイ開戦前、ニミッツ太平洋艦隊・提督は、
自軍の空母艦隊司令官(スプルーアンス)に対し、
「日本の空母相手に勝てるとは思えないから、
戦況が悪かったらハワイに引き返してよい」と指示を出している。

皮膚病でハワイの病院に入院中のハルゼー提督。
彼は艦隊の指揮権を部下のスプルーアンスに譲る。

「レイ。お前が指揮官だ。ミッドウェイで指揮を取れ」
「おいおい。俺にあなたの代わりが勤まると思うのか。相手は南雲の艦隊だぞ?」
「いいからやれ。俺は指示した。おまえは命令を聞け。それだけだ」

初戦から太平洋を荒らしまわった
「南雲機動艦隊」(空母第一機動艦隊)を
経験と練度からして「世界最強の艦隊」と米海軍は定義していた。

この艦隊は、ハワイ真珠湾を360機の航空機で空襲したのに初め、
南はオーストラリア北部から、西はインド洋を超えて
英領アフリカ東海岸の方まで、およそ地球の1/4はこの艦隊の攻撃範囲内であり、
その勢いはどの国の海軍でも止めることはできなかった。

第一航空戦隊、第二航空戦隊からなる日本人パイロットは、
英語をして「ベスト・ファイターズ」(最優秀搭乗員)と称されていた。
米英の訓練されたパイロットでも、ドッグファイト(空中戦)で
彼らを倒すことはできなかった。

(米国映画・ミッドウェイからの参照多数。
 他は学研の歴史群像シリーズの文献)

ミッドウェイ付近で生起した大海戦では、
運が良かったとはいえ、アメリカはこれを倒した。
(米空母一隻沈没。米パイロット170名以上が零戦に
撃墜されるなどして戦死し、被害も大きかった)

かつて日本は日露戦争でロシアのバルチック艦隊、
旅順艦隊、ウラジオ艦隊をせん滅した。(ロシア全海軍の2/3に相当)
そして世界の五大国の一角にまでなった。
今度は米が、最強の日本艦隊を倒して、世界一の地位を手に入れた。

軍事の歴史とはこのように続いてゆくのが必然なのだ。

この地獄の戦争の過程でイージス・システムが作られ、
米艦隊の防空体制の基礎が固まった。
イージスとは、スーパーコンピュータによる、
極めて高度かつ合理的な対空、対潜システムである。
神風特攻隊の攻撃を防ぎきれなかった反省から生まれた。

「空母艦隊による戦闘の経験」

がある米海軍は、間違いなく世界最強である。

仮に20年以内に中国が軍拡を推進し、空母を米と同じ数持ったとしよう。
航空機など他の兵器も、質的にも全く同じものを揃えたとしよう。

これで、戦力的には5対5のあいこである。
ジャンケンなら最初からやり直しだが、戦争はそうはいかない。

この場合、負けるのは中国の方である。
断言してもいい。なぜそこまで言い切れるか?

「空母艦隊を運用したことがない」からだ

中国は、日清戦争で北洋艦隊が日本海軍に殲滅されて以来
まともな海軍を持ったことはなかった。当然、大戦中に
帝国海軍相手に戦ったことなどない。そもそも海軍がないので、
日本海は完全に日本の海。我が方は好き放題に荒らしまわっていた。

中国が日中戦争で日本陸軍にボコボコにされている間、
日本とアメリカは太平洋で人類史上最も高度な航空決戦を繰り返していた。

空母は、遠く離れた敵目標に対して航空機による空襲を行う。
その間、スキだらけの空母を守るために、防御用の駆逐艦などを含む、
防空戦闘は必須だ。艦隊規模での高度な運用が求められる。

☆ちなみに「空母艦隊」を世界で初めて作り出し、運用したのは日本海軍である☆

日本とアメリカは、互いの空母を偵察機で発見してから
同時に飛行機を飛ばし合い、互いの艦隊にたどり着くまで
一時間近くかかることなど普通にあった。

皮肉なことに、道中の空ですれ違った
両軍の戦闘機同士で戦闘が発生したこともあるという。
空ばかりに気を取られると、
潜水艦の魚雷で空母が沈められることもある。

冷戦中のソ連海軍は、空母と原子力潜水艦を含む
巨大な艦隊を持っていたが、何度図上演習をしても
最後まで米相手に勝てる見込みがなかったそうだ。

「あの日本海軍が勝てない相手に、我々が勝てるわけがない」
   筆者の推測だが、こう思ったとしても不思議ではない。

湾岸戦争の例がある。当時、世界で四番目の防空戦力を持つと
恐れられたフセイン大統領のイラク。米海軍の機動艦隊の
攻撃を受けて、自慢の防空システムは3時間以内に「壊滅」した。

日本帝国の例。日本本土防空戦の際、大都市圏が焼け野原になったことばかり
メディアでは報道されるが、米もしっかりと損害を受けている。
米軍公刊戦史によると、対日戦で失われたB29の数、実に500機を超える。
全体の1/6を喪失したことになる。

B29だが、鉄の量が通常の戦闘機4機分に匹敵するほどの化物である。
米国の巨大な工業力が作り出した、対枢軸国用の戦略(決戦)兵器である。

文部科学省の教育とテレビなどのメディアは、
日本がぼろ負けしたかのように伝えるのが好きなようだが、
「どこがぼろ負けなのか?」

そもそもぼろ負けなら、世界最強の米軍相手に
どうやって3年半も戦えたのか。
日本が強かったからに決まっているだろうが。

『日本の教育機関(文科省)やテレビなどの報道機関は、
 第二次大戦に関して民間人の被害「だけ」を教えている。
 純軍事的な要素は全く排除され、国民には一切知らせない』

自ら情報を調べない限りは、
日本国民は永遠に真実を知ることができないのだ。

硫黄島の戦いは、映画にもなったことで知名度が上がった。
「硫黄島要塞」全長18キロの膨大な地下陣地。
日本軍の火砲保有数(大砲、バズーカ砲など)は300を超えた。

米軍が上陸地点で集中射撃を受けた際は、
「200以上の機関銃に照準された地獄」だったと
アメリカの元衛生兵は語っていたという。

この機関銃斉射の容赦のなさは、地獄と定義するのすらなまぬるい。
栗林中将の作戦は、敵をギリギリまで内陸など開けた場所に引き寄せてから、
各陣地の「十字砲火で皆殺し」にするものだった。

砂地に足を取られ、身動きは制限される。
射的に的の様に米兵に対し次々と銃弾が貫通していった。

日本側の射撃は「ミートグラインダー」(肉挽き器)と呼ばれた。
硫黄島で36日間戦った米軍の死傷は2万7千人を超えた。
連日、硫黄島での大損害を報じるメディアに米国民は戦慄した。
日本本土へ近づくにつれて米軍の損害は何倍にも膨れ上がっていった。

日本軍は地下要塞にこもっているため、姿は見えない。
トーチカは天然の岩にコンクリを混ぜたものを使っている。
そのため、気が付いたら撃ち殺されている。

ある米兵が、突撃中に足元に何かが落ちているのに気づいた。
すぐ前を走っていたはずの兵隊の頭部や内臓が飛び散っていたのだ。

「一人十殺。衛生兵から優先的に狙え」これも栗林中将の命令である。
赤十字のマークを付けた、非武装の衛生兵は次々に射殺された。

それでも幸運な衛生兵が、地獄の猛射の中をなんとか生き延びて
負傷兵の看護に行ったところで、皮肉にもよく目立つ目標になるだけだ。
止血の準備を始めた次の瞬間には、
大砲の直撃を食らって吹き飛ぶなど珍しいことではない。

日本軍の巧妙に隠した地下壕に足を引っかけ、
運悪く落ちてしまった米兵がいる。
彼は内部を連れまわされ、散々殴られた後、
4人の兵隊に銃剣でめった刺しにされた。

硫黄島から傷ひとつ追わずに帰国した幸運な兵隊に
かけられた言葉は、きまって
「あの地獄からどうやって生き延びたんだい?」これだった。
最前線を経験した米兵は口を堅く閉ざし、決して語りたがらない。

帰還兵を乗せた列車が、米のとある田舎町へやって来た。
硫黄島の戦いから帰って来た父や兄を迎えようと、
ホームでは大勢の家族が集まっていた。

ある兵士の弟は、ようやく帰って来た兄の姿を直視することができなかった。
他の家族たちも同様である。みなハンカチで涙を拭き、嗚咽(おえつ)を始めていた。
列車から降りて来た兵隊たちは、「みんな五体不満足だった」のである。

片腕か、あるいは両足を失い、あるいは片耳が消え、
後遺症で顔が変形している人もいた。
帰還兵は包帯だらけの体に松葉杖をついてほほ笑む。

「僕はこんな姿だけど、生きて帰って来たぞ。
  頼むよ。笑って出迎えてくれ。どうしてみんな下を向いているんだ」

命があるだけましだった。
家族たちは硫黄島の激戦のすさまじさに打ちのめされ、
返す言葉さえ思いつかなかったという。

第二次大戦中にアメリカ海兵隊に与えられた
名誉勲章(メダル・オブ・オナー)の4分の1以上が
硫黄島攻略部隊のために与えられた。

その当時、上官が部下の兵隊を脅すこんな言葉があったという。
「次は沖縄行きにするぞ」米兵は顔面蒼白になった。
沖縄の地上戦は硫黄島に匹敵したかそれ以上だった。

沖縄戦に投入された米海軍兵力は、
空母17隻の機動艦隊を含む、計1400隻の艦隊である。

10回に及ぶ神風特攻の総攻撃を食らい、米海軍艦艇の損害が増え続けたことにより、
米海軍司令部は、会議を開いて一時的に撤退することも検討したほどだった。

戦争の悲惨さは、日米ともに平等である。
日本軍が太平洋各地に作った収容所で
死亡した連合国軍の兵士は数え切れないほどだ。

↑の方で書いたB29の件だが、B29が撃墜された際にパラシュート
降下したパイロットが、仮に田舎の田んぼに降りたとする。
すると、多くの農民が集まってきて「鬼畜米英」と罵倒され、
農具などで歯や骨が折れるまでひたすら殴られる。

英語で命乞いしても外国語なので何も通じず、
そのまま憲兵隊のとこへ連れて行かれ「拷問の続き」が行われる。
日本憲兵の鬼畜ぶりは、この作品のボリシェビキの比ではない。

一番ひどい例だと、九州の大学の人体実験に使われた米兵が
7人もいたそうだ。「健康診断のためだから」と軍医に嘘を言われ
「サンキュー」と事情を知らない兵隊は答えていた。

日本は悲惨な思いをした。同時にアメリカも悲惨だった。
こちらが苦しい時は、敵もまた苦しいのが軍事の基本である。
歴史を正しく伝えないことが、英霊に対する最大の侮辱になると思う。

また現代の軍事の話に戻すが、
イギリスの軍事の専門家は、仮に全世界の海軍がアメリカ相手に
戦争を開始しても、半年以内に壊滅するか、あるいはアメリカ側に
寝返って戦線布告をするかのどちらかと予想している。

「おいイワノフ!! 北関東ソビエトは、
 すぐに無力化されるんじゃないのか!!
 なんで革命のことが大々的に報じられてるんだ!!」 ←ナツキ

「いや、実は我が方は、戦力がそれなりに整っているから
 あえて日本政府に対して宣戦布告をしているようだが…」

この戦力不足も零人が解決してくれた。
彼がこのように願ったからだ。

(ソ連の全盛期の戦力が揃えば革命が成功するのになぁ)

その願いは通じ、なんと北関東には
なんの前触れもなくソ連軍の全兵力が揃ってしまうのだった。


北関東ソビエトに出現した戦力は下記のとおりである。

戦車 5万5千両
装甲兵員輸送車 7万両
歩兵戦闘輸送車 2万4千両
砲 3万3千門
自走りゅう弾砲 9千両
ロケット弾   8千両
防空車両    5千両
対空砲     1万2千門
ヘリコプター  4万3千機

私が数話前に書いた内容をそのまま張り付けただけだが、
とにかくこれだけの戦力が北関東に揃ってしまったのである。

80年代の兵器とは言え、「戦車が5万5千両」!!
これだけで日本列島を縦断できそうなほどだが…

「ちなみに兵隊はいない」
「あ?」
「出現したのは兵器だけだ。乗る人はいないよ」
「どういう意味だ? では民間人を戦車に乗せるのか」
「そういうことになるのか…」
「…バカか!!」

ナツキは吠える。

「プロの兵隊がいないと意味がないだろうが!!」
「ないものはいない。仕方ないだろうが」

犬のごとく吠えまくるナツキにイライラするイワノフ。
彼を何とか落ち着かせるために、
北関東ソビエトの決定を教えてあげることにした。

「兵力として無職とニートを徴兵する」
「なにぃ」

最近の日本では、高齢化無職が問題視されている。

※高齢化無職

  18から35歳までがニート。それ以上の年齢で、働く意欲がなく家にいる人は、
  高齢化無職と呼ばれている。親の年金や金融資産に依存して
  生活しているが、親の死後、自殺や犯罪に走る可能性が懸念されている。

「そのニートたちの数は?」
「およそ67万人だ」

埼玉、栃木、群馬、茨城だけでこれだけの数の
ニート、無職がいるのだから驚きだ。

別に私が統計を取ったわけでもないし、資料を参考に
したわけでもないのでこの数はデタラメだが、
実際にこれくらいの数がいても不思議ではない。
なぜなら…

※政府が発表する、失業率の統計

ハローワークに登録しており、数か月間にわたって
仕事が見つからない人を数えて言えるだけ。
つまり「ハロワ」に登録してない人は含まれていない。
意図的に少なめに発表しているとしか思えない。

「そいつらは会社で働くこともできない軟弱者の集まりだろう?
  戦車に乗って戦えるのだろうか」

「その点は心配ない。この作品は小説だからな。
 何でもありと言うことにしておこう」

「イワノフ……メタネタを使うのはネタ切れを認めるのと同じだぞ」

ソ連軍は、臆病な兵隊が突撃をためらって引き返した場合は、
政治将校が機関銃で後ろから撃ち殺した。

とあるモンゴル系ソビエト兵は、脱走防止のために
戦車の座席に足が鎖で縛りつけられていた。
そのため、日本軍の火炎瓶攻撃を食らっても
逃げ出すことができずに焼死体となった。

「上のナレーションみたいな感じで運用すればいいだろう」←イワノフ
「適当過ぎるだろ。いつからこの作品はギャグ作品になったんだ」

そしてこの膨大な兵力は、北関東ソビエトの指導の元、
東京へ向けて進撃を開始することになった。
主力はニート兵。一方で守る側は自衛隊。プロである。

いったいどうなってしまうのか、筆者には想像もつかないので
戦争の描写するのをやめることにする。というかめんどくさい。

こなってしまってはもう、学園がどうとか、強制収容所7号室が
どうとか言っている場合ではなくなった。

「先輩。脱走しよう」「おう」

久しぶりにマリーと太盛が登場したわけだが、
ついに物語が最後の局面に入ろうとしていた。

先に述べておくが、これからこの小説は
堀太盛と斎藤マリーの脱走劇を描くことにする。

どんな結末を迎えるのか知らないが、
これが正真正銘、最後の展開とする。
できればハッピーエンドにしたいが、いったいどうなってしまうのか。

そもそもどこへ逃げるのか。

「西日本だ」太盛が答えた。

「おそらく東京は壊滅するだろうが、
 西日本はまだソビエトの革命が起きていない。
 関西国際空港経由で外国へ逃げるぞ」

「どこの国へ?」マリーの問いに「モンゴル」と即答。

それはよくない。

「なぜだ!!」

モンゴルへの逃避は一年くらい前に書いた。
同じネタを書くのは退屈だ。

「じゃあ、どうすればいいんだ!!」

次の話で考えよう。筆者にはまだ書きたいことがある。


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