あらすじ
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有三は疲れていた。生きるということがど彼にとってどのような意味を持つのかさえわからなくなっていた。そんな時、先輩でもある大切な友人を病で亡くした。葬儀場の祭壇に横たわるその顔は安らかであった。有三は、先輩の死の数日前電話をもらった。その声は、酒に酔っていた。仕事も順調で、家庭もうまくいっていた筈の先輩の口からは、淋しいと聞こえてきた。一生の付き合いだと言って、電話は切られた。 「人間は、そう簡単に死ねないもんだ」という言葉を残して先輩は亡くなった。 仕事も家族も失っていた有三は、この先どうして生きていったらよいのか悩んでいた。 そう簡単には死ねないという先輩の言葉は、自ら命を絶とうとしていた有三にとっての戒めの言葉であったのかもしれない。
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