あらすじ
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弁護士の花城は、とある如月の夜、眉毛が垂れさがったのに気づいた。おかしいとミラーを覗いたが眉毛は垂れてはいなかった。そこで眉毛を逆なでして垂れた数本の眉毛を抜き取った。それでも眼前には眉毛が垂れている。あれこれとテストを繰り返してみたが、やはり視覚としては眉毛は垂れているのだった。 オレの目はいかれたとため息を吐く。ミラーを覗きこみ、眼球を左右に移動すると3匹の蚊が飛んだ。真冬の書斎で蚊が飛ぶはずはない。これは飛蚊症だと呟く。 翌日、大学病院の眼科を受診したところ、アメリカから輸入された新生血管黄斑症だと診断された。自分が光を失うときが来るかもしれないと、花城は悩みはじめる。 花城は病院に通院しているうちに、担当医の女教授と恋仲にのめりこんでゆく。 その後、心理学上の法則を活用して花城は逞しく生き続ける。
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