あらすじ
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平穏な日常、それが崩れた。嫌ではない。むしろ喜んでいる。しかし、気楽に過ごそうなど、到底無理な話だった。いつもと変わらぬ景色を見ていてはつまらないだろう。人はそのうちいつもとは違う景色が見たいと思いだす。いや、そう願うだろう。だからと言って窓から見える工事中のマンション屋上にあるクレーンを念じて落とすことなんてできない。人間にはそんな力は備わっていない。だからこそ願うのだ。現実で努力すれば出来ることよりも非現実的な能力の方が面白いに決まっている。他人には出来ない、自分だけの力・・・ なんて妄想している少年が一人、顔に一つ大きなホクロを着けた教師にコズかれる。授業中だったようだ。しかし、今はそんな気分にはなれなかった。何か、何かが起こる。そんな気がした。
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