あらすじ
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古き古き永久の都 ガリオン正教国首都ガーリアン 西の大陸のそのまた西の果て。 またの名を西果ての国(さいはてのくに)とも呼ばれる。
「御着きに御座います」 ガーリアンの王城であるガリアンデルタ神殿の最奥の間で、今一人の青年が立ち上がった。 その横で、明らかに彼と血のつながりのあるという面差の少年が、書簡のようなものを彼に手渡した。 「兄上、ローレンシアの王女が到着したようです」 分かっている、そんな視線をに向けて、青年は歩き出した。
その少し前、ガリアンデルタ神殿の中央殿へ向ける回廊を一人の女性が歩いていた。 その介添えに着くのは、見知らぬ異国の神官たち。 それでもその女人は、そんな状況をも全く意に介す様子もなく颯爽と己の歩くべき道を進んでいるように見えた。 そうして回廊の突き当たりまで進んだ所で、介添えの神官たちの足が止まった。 其れに合わせて、女性もその歩みをとめた。
「こちらが、最奥の間への入り口です」
その言葉と共に、遂に扉は開かれた。
(嗚呼、始まったのだ)
ベルグリットはそんな事を思った。
そうして、ゆっくりとその一歩を踏み出したのだった。
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