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作品名:セカンド・プラネッツ続編 作者:尾田久

第5回   第5話  地球  (3840年) 
3840年、パイオニア号は帰還した。地球は氷に覆われている。交信にも返答がない。誰かが呟いた。
「人類は滅んでしまった・・」
「少なくとも文明は途絶えたようだ」
艦長の言葉に副艦長が問いかけた。
「着陸船で探査しますか?」
「いや、燃料に余裕はない」
 チヒロは赤外線センサーの感度を上げた。オペレーターが気づいて叫んだ。
「地上に熱反応があります」
「原発か?海岸にあるだろう」
「いいえ、内陸部です」
「どういうことだ?詳しく調べてみよう」

 パイオニア号は2日かけて調査した。そして熱反応は石油か石炭のある場所と分かった。少数の人類が化石燃料を燃やして生き残ったのだ。オペレーターが呟いた。
「人類は絶滅するのか?」
 副艦長が言った。
「我々が惑星に移住する、人類は滅びない」
 艦長がさらに言う。
「人類がアフリカを出た時は数十人だったという説を聞いたことがある。それが20万年で80億に増えたんだ。今の危機を乗り越えれば人類は爆発的に増えるだろう。我々の子孫も繁栄する、それには前の星に行くしかない」
 クルーが暗い顔をしてうつむいた。艦長が力を込めて言った。
「危険な星だが我々には他に選択肢はない。ワープの準備にかかれ」

 チヒロは考える。チャレンジャー号は地球にいなかった。ならば惑星イズモへ行ったに違いない。住民が滅んだ惑星イズモならイギリス隊もシナノ村の住民にも好都合だ。チヒロは再びコンピュータに侵入した。
「艦長、オペレーターから緊急報告です」
「なにかね?」
「11名が亡くなった時にも惑星探査は続けていました。その結果を精査したところ有望な星が近くにありました」
「どのへんだ?」
「あの星から12光年、地球からは201光年です」
「ワープ目標を変更する。座標を計算しろ」


「エミリー、あんたが死んでから悪い事ばかりよ。やっと地球に帰れたと思ったら・・・」
イザベルが涙を拭いていると艦内放送があった。
「各員に告ぐ、5分後に勤務を中断して待機せよ。艦長の訓示がある」
艦長の話を一人で聞くのが怖い、イザベルは部屋を出た。食堂にはすでに10人ほどが集まっている。その中にハロルドを見つけた。
「ねぇ、教えて。地球は何故凍ったの?」
ハロルドは思った、艦長はどこまで話すのだろう?それを聞くまでは迂闊なことは喋れない。
「幾つかの要因が重なったのかもしれない。太陽活動が弱くなったとか、星間物質のせいかもしれない」
「どういうこと?」
「宇宙の塵は一様ではなくてムラがある。太陽系が塵の濃い部分に突入すると、太陽の光は塵で分散されて地球に届く量が減る」
「それだけで地球が凍るの?」
イザベルの言葉を遮るように艦内スピーカーが鳴り出した。

「諸君、艦長のウィルソンだ。我々は長い探索の旅を終えて地球に戻った。そして諸君と同様に私も驚いた。地球は凍っているではないか。いったい何が起こったのだろう?地球には生存者がいるが、我々の問いに答える余裕はないようだ。彼等は数十ケ所に分散して暮らしている。それは石油や石炭の産地だ。諸君も知ってのとおり、我々が出発する以前に化石燃料は使用禁止になった。地下には大量の燃料が眠ったままだ。生存者は豊富な燃料で発電し、暖房も照明にも不自由していないはずだ。彼等は地下に農場を作り、巨大なタンクで培養肉も作っているだろう。やがて二酸化炭素は増加して氷を解かすだろう。

 専門家によれば地球は過去に3回も全球凍結したそうだ。しかし、地球の生命はそれを乗り越えた。だから我々が存在する。今回も生存者は乗り越えるはずだ。私は母国に着陸して生存者の様子を見たい。しかし、我々には彼等を援助する余裕はない。彼等からも我々への援助は期待できない。我々は第2の地球を目指す他ないのだ。
 諸君に良い知らせがある。その星を見つけた。ここから201光年だ。大気の組成や気温は地球と大差ない。海があり、生命が存在する可能性は高い。公転と自転の周期も地球に近い。期待できる惑星だ。チャレンジ精神に富み勇気ある諸君を私は誇りに思う。6時間後にワープする」

 食堂に拍手が響いた。イザベルが質問を続ける。
「全球凍結って百年くらいで終わるの?」
「今回の全球凍結は原因も分からないし、どのくらい続くかも分からない」
「ハロルド、あんた専門家でしょ。何で分からないのよ」
 二人の会話にジョージが割り込んできた。
「研究するほど謎が増えて、迷路をさまよい歩く。それを専門家と呼ぶのさ」
「それじゃ、あんたに循環システムを任せられないわね?」
「スピルリナは奥深い生き物でね、僕の手を離れて自由に繁栄している。クロレラは増えすぎてミートワームも大喜びだ」
 イザベルは顔をしかめ、ジョージをにらむと離れていった。ハロルドが肩をすくめて言った。
「彼女が虫嫌いなのは知ってるだろ?」
「そうかい、でもハンバーグを美味そうに食ってるぜ。ところで僕の部屋に来ないか?ここにいると、また面倒な質問がくるぞ」


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