20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:前立腺ガン奮闘記 作者:尾田久

第5回   5  ホルモン療法
重粒子線治療が決まって僕は安堵した。ところが、それが始まるのは5ケ月後だという。その前にホルモン療法をしてガンを小さくするらしい。前立腺ガンは男性ホルモンで増殖するからとのこと

PSA値が21を越えたのが昨年の12月。ガンと判ったのが2月。重粒子線治療が8月開始で9月終了だ。そもそも健診で採血したのが昨年10月だから、それから約1年後だ。そしてホルモン療法は2年間。トホホである。その治療はCセンターではなく、紹介元のB病院でやる。

ホルモン注射は腹に打つと聞いて驚く。皮下脂肪の多い所に打つそうだ。腹にブスと刺すと思いきや、腹をつまんで横から刺すので痛くない。その副作用で「ほてり」がでる。突然に熱くなって汗が出るのだ。女性の更年期と同じらしい。ジジイになって初めて、ババアの昔の苦労を知る。

治療の前に説明があった。重粒子線の照射位置がずれないように、自己管理せよとのこと。治療の24時間以内に排便を済ませる。ところが、ホルモン療法の飲み薬の副作用なのか便が硬くなった。便秘ではないが、便通が良いとは言えない状態だ。ちょうど、A医院の診察日があったので、便を柔らかくする薬を処方してもらった。モビコールLDという子供用便秘薬だ。これで普通の便になり、一安心。
小便を溜める訓練がある。250〜300ccの水を飲んで1時間、小便を我慢する。これは簡単で、簡単過ぎて僕は途中で止めてしまった。そして僕の準備が終わったつもりだった。

治療のための固定具を作る。初めて着替えをする。薄い水着の様な専用のパンツは家で履いてくる。更衣室はフルチン禁止だ。患者は年寄ばかりで古チンだから、と納得する。しかし社会の窓がないので、駅での排尿は不便だ。
薄いパンツと下着のシャツ、靴下の姿で台の上に寝る。台には粘土のような物があって、背中やお尻の型を取る。両足は決められた置き場に乗せる。そして臍から下腹部の上に、熱したプラスチックの板を押し付ける。それが冷めると固まって下身体を固定する型になる。

数日後に台に固定されてCTを撮る。患部の位置を正確に測る。この時に本番と同じように大小便を自己管理するのだが、看護師の指導が説明書と違うのだ。24時間以内の排便どころか、便秘薬を1日に2回飲めと言う。モビコールHD(大人用)を朝晩飲むのだ。A医院で処方したモビコールLD(子供用)の倍の量を2回飲むのだ。すると、超柔らかい便が1日に3〜4回出る。電車で便意を感じたら、間に合うかしらと不安になる。

本番で便が残っていれば浣腸する、ガスがあれば管をいれて抜く。さらに、コーヒー、お茶は利尿作用があるので禁止。麺類はすする時に空気も吸うので禁止。同じ理由で早食いもダメ。炭酸飲料も禁止。酒・タバコなど論外だ。
ひぇ〜厳しい。僕の「セカンド・プラネッツ」では伍長が艦長に反乱した。数百年後の「後編」ではゴチョウが村を支配し、カンチョウは罪人の意味だった。僕にとってカンチョウは何としても避けたいのだ。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 36