PSA値が21を越えた。1年前より大幅に増えた。ガンに違いない、僕は落ち込んだ。ガンになったことよりも、生検をすると思うと気持ちが沈んだ。
話は3年前に遡る。近所のA医院で受けた健康診断でPSA値が9.3だった。基準値の4.0を越えている。A先生に言われて、僕は市内の総合病院のB病院に行くことになった。 ネットの情報ではPSA値は前立腺ガンの指標ではあるが、前立腺肥大や炎症が原因のこともある。PSA値が10でもガンか否かは半々とか。さらに前立腺ガンの進行は遅く、転移していなければ5年生存率はほぼ100%だ。その生半可な知識で、僕は楽天的に考えていた。
B病院の血液検査で、PSA値は少し下がった。しかし、半年後には9.8に上がった。MRIの結果ではガンの可能性は50%で、生検をすれば判ると言う。生検とは患部に針を刺して組織を取る。それが12ケ所と聞いて僕はビビった。僕は想像した・・・若くて美人の看護師が僕のアレをつまむ。僕は不安でアレはピクリとも動かない。看護師が毛を剃ると、先生が僕の下腹部にマジックで12の×印をつける。そして太い針を刺す、ブス、ブス、ブス、恐ろしい。
さらにB病院に通いたくない理由があった。採血と会計と手間だ。 A医院の看護師は丁寧に針を刺すので痛くない。B病院は採血専門の看護師が流れ作業の様に刺すので痛い。 B病院は大きくて患者も多いから会計の待ち時間が長い。 A医院では健診にPSA検査を追加するだけだ。費用は発生しないし、僕は検査用紙を提出するだけ。 B病院で痛い思いをして、さんざん待たされて金を払う。検査のために家から遠いB病院に行くメリットは何もない。
先生は若くて気さくな人だったので、逆に僕から提案をしてみた。毎年の健診でPSA検査をやり、12を越えたらB病院に来る。すると先生は「自己責任という事ですね」と了承してくれた。 僕は生検から逃げられてホッとした。PSA値12とは根拠があったのではない。咄嗟に口に出た数字が12だった。これは多分、スーパーで20%オフとか20%増量に弱い僕が、PSA値10に20%を掛けたのだろう。 その後PSA値は少しずつ上がって、3年目には12を越えるだろうと思われたが、突然21を越えたのだ。 B病院に行くと、先生は温かく迎えてくれた。そろそろ来る頃と予想していたのかもしれない。MRIの画像には3年で1.5倍に成長した灰色の影がいた。僕は覚悟した。生検だ、12カ所もブス、ブス、ブス、だ。看護婦さんもブス、ブス、ブス?それどころではない。覚悟したけど・・・やっぱり嫌だよ〜。
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