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作品名:俺 の 初 恋 は 若 年 性 作者:おじヘル@初任者

第40回   一年の変化
〈 2026年5月13日、今日の水曜日、雲の多い夏日の午後、活けた野の花が室内をかぐわしくしています。テレジアからも仄かに匂いがして、わたしは彼女の隣で椅子に掛けている。今のこの時間は同級生として。専属のオジヘルとしてではなく、同じ学校でたくさんの時間を共有した者として、彼女の隣にいます。彼女は、だいぶ前からリクライニング車椅子に変わりました。けれども、下で続ける我々が再会した日のお話──その日、テレジアは標準型の車椅子でした。一年の変化は、やはりさびしい思いがするものです...... 〉

前回からのつづき: 四時半になったら夕飯が始まる、きりのいいところで食堂へおりて来い、と日勤者が言いに来ます。エレベーターをおりると、すでに彼女がいる。

五人ばかりの入居者に交じってこっちへ背を向けて座る彼女の前に、日勤者が食事のトレーを置くのが見える。ほか、一二名の前にも置いている。職員は日勤者と、それから日雇いのわたし──二人です。ポチは見えません。

と、日勤者は行って一台の車椅子の後ろに立つ。無言で立ちます。車椅子には男性が座っている。車椅子に座ってテレビ画面を見あげている。そうして日勤者は無言のまま、車椅子を動かし始める。車椅子を動かしてテレジアの真向いにつける。日勤者は男性に目もくれない一連の動作。

男性とテレジアと、テーブルを挟んで向き合う配置にする。そこへ男性の分の食事を持って来ると、三人で三角形になるようにテーブル端にスツールを置いて、自ら腰をおろす。二名の食事介助を同時進行で行なう、というわけです。

男性もテレジアも、全面的な介助を必要としていました──口の中に入れて上げないと自分一人では食べない、われわれ介護業界でいうところの「全介助」です。そういう、認知機能が著しく低下した人の食事介助をする場合、正面に低く掛けて、しかも口に入るスプーンを見せながら行なう──これまた介護経験のある方にとって常識のテクニックでありましょう。相手にあわせて応用テクニックを使うとしても、基本のところは皆同じ。介助する者は低く掛けて、正面から、一対一で行なわなければなりません。


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