「ちなみにその玉をどこに奉るのでしょうか。ハヤトの時は妖気だけをその玉に封印してたけど今回は違いますよね?体ごと封印ってなると万が一封印が解かれてしまった時に取り返しがつかないことになるんじゃないですか。茜さんも俺たちも逆恨みされているだろうし。」 すると茜さんはまたもやなんだそんなことという表情をした。 「この玉はね、転送装置みたいなものよ。」 「転送装置?」 「そう。直接ここに封印して奉るというわけではないわ。これは一時的に妖気や妖怪を保管しておくものなの。だからここに閉じ込められた妖気や妖怪は、じきにある場所へ転送されるわ。」 「へぇ〜それは初耳です。」 これには感心した。どうりで封印するたびに毎回この玉がお出ましになっても大丈夫なわけだ。まぁよくよく考えてみればそれもそうだよなぁ、一つの玉にあれもこれもと妖気や妖怪を封印していったらそのうち朝の山手線みたいに満員になってストレスたまった妖怪の暴動が起きてしまうもんな。もしかしてこの玉が他にも何個もあって一人の妖怪に一つの玉かとも思っていたけどそれでもなかったわけだ。 でも待てよ、そうなるとハヤトに言った「封印したあなたの妖気は奉ってあげるから安心しなさい」との言葉が嘘にならないか? 「茜さん。」 「なに?」 「茜さんは封印した後であなたの妖気は大切に奉ってあげるから安心してと言いますけど本当に奉ってあげているんですか?」 「そんなの口からでまかせに決まっているじゃないの。」 言い切った!茜さんはなんの悪びれもなく言い切った!極悪非道とはまさにこのこと!・・・でもまぁいいか。人間に悪さしたり社会に害なす者だけを封印してきたんだし。 「ちなみにどこに転送されているんですか?地獄の一丁目ですか?もしかしてどこかの山奥にひっそりとたたずむ妖怪専門の神社とか?魔界とか?」 「知りたい?」 そう言って茜さんはニヤリとほほ笑んだ。なんか目が怖いんですけど。 「知りたいような知りたくないような・・・。」 「とおーい、とおーい場所にある、二度とこの世には戻ってこられない場所よ。片道切符、わき見も後戻りも決して許されない魑魅魍魎が跋扈する場所。太郎ちゃんも一度見学してみる?」 茜さんは貞子のようにゆらゆらと体を揺らしながら不気味に俺に迫ってくる。目が恐ろしく据わっている。茜さんは地獄の女番長か!俺は聞いてはいけない事を聞いてはいけない人に聞いてしまった!! 「遠慮しておきます。」 即答だった。
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