「目には目を、権力には権力を、よ。」 茜さんは自信満々に微笑むと戸田さんに電話をし始めた。 「もしもし。戸田さんですか?私は轟茜です。お忙しい中すみません。」 茜さんは暫く戸田さんと話したあと 「そうですか!?助かります。本当にありがとうございます。それでは失礼します。」 どうやら戸田さんの協力が得られたようだ。戸田さんは日本の最高権力に仕えている。 「持つべきものは友、いいえ、国家権力よ。」 そう言ってウィンクする茜さんはまさに女帝。 「戸田さんの人脈使って警察に圧力かけるんですね、分かります。」 俺は茜さんが恐ろしい。 「あら、立っているものは親でも使えというでしょ?」 茜さんはすまし顔で言い切ると意気揚々と歩き出した。俺は勇ましい女帝の後ろ姿を見ながら隣にいる淳さんに聞いてみた。 「茜さんでいいんですか。考え直した方がよくないですか?」 すると淳さんは微笑んだ。 「怖くなかったら茜ちゃんじゃないだろう?それに僕は暴れ馬が好きなんだ。」 うーん、余裕の淳さん。男女の世界は奥が深いな。 淳さんは颯爽と歩きだし、茜さんの隣に並んだ。俺は今だ落ち込んでいる伯父を無理矢理引っ張って二人の後を追った。
俺たちはこの時まだ知る由もなかった。 まさか如月さんに疑いを深める事態になるなんて。
|
|