行く先々でもっとましな発明品はないのかと言われ、その度にジャノは肩を落とすがそれでも諦めなかった。折れなかった。ジャノには信念がある。 だが、十軒目に訪れた家人に「才能ないんだよ、帰れ、変人!」と言われた時はさすがにこたえた。家の中から家人とその家族の会話がもれ聞こえてくる。 「変人の考える事は分からない、分かりたくもないが。」 「変人のお遊びなんて私らに分かるわけがないわ。」 その言葉が疲れたジャノに追い打ちをかけた。諦めない、諦めはしないけど、とりあえず今日はもう帰ろう・・・やけに疲れた。
ジャノはこうして家路を独り寂しく辿っていく。 その時だ。突然強い風が吹いてきてジャノは思わずよろめいた。嵐でもくるのか?そう懸念したとたん、雨がいきなり降りだしてきた。大粒の雨がザァァァ・・・と。ジャノは慌てて荷車にシートを被せた。発明品が濡れないように丹念にシートをかける。ジャノの体は雨でたちまちびしょ濡れになっていった。手の甲にどんどん雨が当たる。ふと何気なく手の甲を見ると二、三粒の青い色をした雨が乗っているのに気づいた。 「青い?」 ジャノは驚いて空を見上げるが雨はいつもと同じ透明な雨。しかし手の甲には数粒の青。不思議なこともあるものだと少し楽しい気持ちになった。不思議なことは大好きだ。しかし、それ以上はたいして気にも留めず、すぐそこにある林に向かって走り出した。少し雨宿りをしていこう。
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