理穂は、五年前、和也が初めて店にやって来た日のことを思い出していた。
夜空を見上げながら 「お祖母ちゃん、あの時、水面(みなも)に小石が落ちてきたんだね…… その波紋を見つめて和也さんと一緒になりたいと思って、結婚して、こんな大きな家に住ませてもらって、今では社長夫人だよ…… どうするのよ、これからどうすればいいのよ…… どうやって生きて行けばいいのよ……」
不安の中で囁(ささや)いた時、祖母の声が聞こえたような気がした。
多くの信頼できる人に巡り会ったでしょ…… 道を踏み外した人の人生もたくさん見たでしょ…… 頑張りなさい……
完
最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。 この物語は、私の中では比較的初期に書き上げたものですが、2年も経つと、いくらかは物語の書き方も考えるようになり、懸命に構成を練り直し、修正して、作り直した者です。 常に悪役を仕立て頑張る人が救われる物語を目指しています。 このページが400文字に満たないため、加筆いたしました。 今後ともよろしくお願いいたします。
|
|