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作品名:お散歩ペンギン 作者:光石七

第5回   『飄々とうそぶく』『夢の否定』

『飄々とうそぶく』


へえ、僕の何を知ってるって?
君の目に僕はどう映ってる?

ああ、別に言わなくてもいいよ
好きなように思ってくれて構わない
本当の僕を理解できる人なんていないだろうから

いや、違うよ
僕が全てをさらけ出してないだけさ
僕自身に対してさえね

うーん、わざとでもあり
そうでない部分もあり……
でも、全部見せられても困っちゃうだろ?
僕も自分で全部はわかりたくない

一人の人間を完璧に理解するなんて不可能だよ
僕も君の一部分しか知らない
もし完全にわかるという人がいるとしたら
その人は……だろうね

まあ、僕と君がお互いを少し知っていて
いま割と良好な関係を築けてる
これでいいんじゃない?





『夢の否定』


心の底から望んだ夢は叶わない
「他の道もあるから」
そう言われても
何の慰めにもならなかった

力が足りないことはわかってた
でも
必死に努力すればきっとできると
信じて走り続けた

立てた誓いにも
あなたを喜ばせたい思いにも
嘘はなかった
走り続けて死ぬなら本望だとさえ思ってた

こんな形で諦めさせるくらいなら
どうして
もっと早く止めてくれなかったのですか
この道以外知らない私に
どうしろというのですか

放り出された私は
迷子のまま
ただ日々を消化している

私に夢を聞くな
私に未来を尋ねるな

そんなものない
     



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