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作品名:お散歩ペンギン 作者:光石七

第1回   『臆病者』

『臆病者』


僕たちが暮らしているのは
本当はもろい砂の上

この目に映る光景も
つないだ手の温もりも
日々感じる喜びや悲しみ、苦しみさえ
たやすく消えていく

うつつのまどろみの中で見ている儚い夢だと
どことなく気付いているのに
今この瞬間が
どうしようもないほど大きく僕を支配する

これが生きているということなのか

どうせ砂に還るなら
はじめから砂のままでいいのに
感情や経験などいらないのに

僕は夢の世界に馴染みすぎてしまったのか
差し伸べられた君の手が温かくて
愛しくて
失うことが怖くて

いずれ砂になるその時まで
この手をつないでいてもいいですか
                                        
                                        
                                        



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