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作品名:飛べないペンギン 作者:光石七

最終回   飛べないペンギン
『飛べないペンギン』


「翼があれば飛べる」
誰がそんなことを言ったのでしょう?
翼があっても飛べない鳥だっているのに

足が短い
歩く姿が不恰好
移動が遅い
寸胴体型
コンプレックスの塊になっていたペンギンは
空を自由に飛んでいる鳥たちを
羨望のまなざしでみつめました

――あんなふうに飛べたらいいのに

ペンギンは崖からジャンプしては羽をはばたかせ
飛ぶ練習を始めました
何度も何度も
時には転んでけがをします
それでも何度も練習するのです

「ペンギンは、空を飛ぶようにできてないんだよ」
「その分泳げるんだから、それでいいじゃない」
仲間の言葉に心が傷つくことがあっても
ペンギンは飛ぶ練習を止めることができません

ペンギンは何をしたいのでしょう?
ペンギンは何を望んでいるのでしょう?

自分でもよくわからないまま
ペンギンはもがき続けています

                              
                              


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