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作品名:レイザーストーン失踪事件 作者:光石七

第15回   (四)失踪の真相D

「脅迫状の件っすよ。誰が何の目的でレイザーストーン先生に送ってきたのか」
 ……すっかり忘れてた。私たちを不安にさせた元凶じゃない。
「あ、『月のかけらがお前を貫く』ってアレね。ボクが自分で作ったやつだよ」
 レイザーストーンはあっさり告白。ちーちゃんに頬ずりなんかしちゃって……。なんだか嫌がっているように見えるんだけど。
「脅迫されたらどんな気持ちになるのか実験してみたんだ。新しい妄想のワンシーンの裏付けとして。謎めいてるほうがそれっぽいかなって文章と差出人を考えて。『月のかけら』とか『石守り』とか、ミステリアスでカッコいいでしょ? 手紙とメール、どっちが怖いか、人に送りつけるわけにはいかないから自分で試したんだけど。メールをいちいち開いて確認するのも面倒だから、サイトの掲示板に書き込んだんだ。手紙のほうは新聞を切り抜いて貼り付けて。「貫」っていう字、なかなか見当たらないんだよね。探すの苦労したよ。でもさー、結局ボクが自分で考えた文章だから、ボクが読んでもちっとも怖くないんだよね。やるだけ無駄だったかなあって感じ。やっぱりサプライズで誰かに送ってもらわないと、本当に実感するのは難しそうだねえ……。だけど、ボクを恨むような人もいないしね」
「……」
 沈黙したまま屋田君と目が合った。瞳の色から、同じことを考えているのがわかる。
(こいつ、本当に殺してやろうか)
 レイザーストーンはちーちゃんのブラッシングを始めた。
「疑問は解けたかな? じゃあ、これからもよろしく。これ終わったらボクも買い物行くから、適当に帰っていいよ」
 屋田君と目配せし合う。事件が本当に起こる日は近いかもしれない……。




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