誰にも見せるつもりはなかった 誰かに話すつもりもなかった 僕自身でさえ振り返ろうなんて思わなかった
あの傷たちはじゅくじゅくと 永遠に膿み続けるものと思っていた ぶつける相手のない礫は 僕の傷を抉る一方だと思っていた
時が経ったからだろうか 受け止めてくれる人を信じ始めたからだろうか おそるおそる見てみると 傷のいくつかは乾き 触れることができるようになっていた ため込んだ礫は 光を求めて出口を探していた
もちろん未だ触れたくない傷もある 自分にぶつかる礫もある だけど 乾いた傷痕だけでも見てもらうことで 僕が前に進む力になるなら 誰かの慰めになるなら 僕はその傷をさらそう 礫を解放しよう
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