『ひととき』
暖かな陽だまり 爽やかな風 特に急き立てられるような仕事もなく 猫の相手をする
これでいいのかもしれない 全部が全部思い通りにはならないけれど こんな時間を少しでも過ごせるならば
猫が大きな欠伸をした ごろんと寝転がる 僕もだんだん眠くなってきた
穏やかな春の午後 こんな日は誰も訪ねてきてほしくない
「シュウくーん!」 静寂を破る子供の声 甥っ子だ 僕は仕方なく立ち上がった
手土産? へえ、最近の子はこんなカードを集めてるんだな 「シュウ、ちょっとレンをお願いね」 姉貴、そりゃないよ でも口には出さない 昔から逆らうとろくなことはないから
これはこれで平和な時間なのかもしれない 遊びに熱中するレンを見ながら 微笑んでいる自分に気付いた
穏やかな午後のひととき
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