20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:コップの中の狂想曲 作者:光石七

最終回   ひととき
『ひととき』


暖かな陽だまり
爽やかな風
特に急き立てられるような仕事もなく
猫の相手をする

これでいいのかもしれない
全部が全部思い通りにはならないけれど
こんな時間を少しでも過ごせるならば

猫が大きな欠伸をした
ごろんと寝転がる
僕もだんだん眠くなってきた

穏やかな春の午後
こんな日は誰も訪ねてきてほしくない

「シュウくーん!」
静寂を破る子供の声
甥っ子だ
僕は仕方なく立ち上がった

手土産?
へえ、最近の子はこんなカードを集めてるんだな
「シュウ、ちょっとレンをお願いね」
姉貴、そりゃないよ
でも口には出さない
昔から逆らうとろくなことはないから

これはこれで平和な時間なのかもしれない
遊びに熱中するレンを見ながら
微笑んでいる自分に気付いた

穏やかな午後のひととき


← 前の回  ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 1115