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作品名:婚約破棄された令嬢は婚約者を奪った相手に復讐するのが習わしのようです 第三部 作者:ジン 竜珠

第20回   今度こそは……!!
 気がつくと、マッパでトンネルの中を飛んでた。あたしの意志で推進してるわけじゃなくて、自動的にどこかへ向かってる。
 そうか、これからあたしは「あの世界」に戻るんだ。
 よし!
 ここは乙女の意地で……じゃない、使命でラグナロクを倒すんだ!
 …………と、また見えてきたわ、青く輝くドア。また、あそこ……ローラントさんの本がある部屋に行くんだ。
 しばらくして、あたしはドアの前に着地する。ふと、足下を見ると、何もない。でも、ちゃんと地面とか床とかを踏んでいる感覚がある。
 ほんと、何を踏みしめてるんだろ?
「うん、今は、そういうことに意識を向けてる場合じゃないわ」
 あたしはドアノブを回し、ドアを開ける。

 中の様子は前と同じ、白い部屋。小さめの茶色い丸テーブルが一つあって、そのテーブルの上に、一冊の本がある。ただ、今度は藤色……淡くて柔らかい紫色の表紙で綴じ紐で綴じられ、週刊誌よりも一回り小さくて、前よりちょっと薄い。
 その本を手に取り、表紙をめくる。例によって最初は外国語だったけど、ちょっとして日本語に変わった。

 あ……。これって……!

 あたしはその本のページをめくり、内容を読む。正直、驚きの内容だったんで、あたしは何度も読む。それこそ読み込む、って感じで。試験勉強で教科書を読み込むよりも、遙かに集中力を使ったんじゃないだろうか?
 そのうち、辺りの空間が歪み始め、本の文字も外国語に変わる。
 なるほど、時間切れか。でも、本の内容はあたしの中に“刻み込まれた”のが感じられる。
 うん、大丈夫! きっと、この内容は忘れない!
 あたしの体が、ゆっくりと浮かび始めた。そして部屋の壁をすり抜け、トンネルの中を進んでいく。
 向こうでは、どのくらいの時間が過ぎたんだろう?
 あ、白い光の点が見えてきた。なんとなくゴールが近い感じがする。
 思った通り、点が大きくなって丸になって、どんどん大きくなって………………。
 よし! 全力であそこに飛び込もう!
 今、あの世界がどうなってるのか気になるし、何より。
 イルザたちに早く会いたい!
 あたしは彼女たちの手を握ろうとするように、右腕を伸ばして光の中に飛び込んだ!


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