☆CAUSION!!
本稿には、グロテスクな表現がございます。 そういったものが苦手な方は、本稿をお読みにならないことをオススメします。
「これが報告書です」 ある休日、俺は、おっちゃんに付いて、郊外にある金持天蔵(かねもつ てんぞう)さん(67)の邸宅(というか大豪邸)に来ていた。金持さんはサプリメント事業で成功した人で、その総資産は、もともと持っていた土地も含めると数億円になるという。 おっちゃんから報告書の入った封筒を受け取ると、金持さんはやや困惑気味の複雑な笑みを浮かべる。 おっちゃんが説明するように言った。 「詳しくは報告書をごらんいただければ、と思うのですが、お三方それぞれが」 金持さんが難しい顔をして頷く。 「問題あり、ということですな?」 「ええ。ただし、これぐらいは許容範囲ではないかと……」 言いかけるオッちゃんを制し、金持さんが言った。 「いやあ、毛利先生にお願いしてよかった。有り難うございました」 笑顔でそう言うと、金持さんは俺たちにお茶を勧めた。 通いだというお手伝いさんが、お盆にコーヒー二つとジュースを載せてやって来た。 そして適当に世間話(ていうか、おっちゃんの自慢話)をして、俺たちは金持邸をあとにした。
四日後の土曜日。 午後、俺は、おっちゃんの事務所で本を読みながら時間を潰していた。 おっちゃんはおっちゃんで、テレビで競馬中継を見て大騒ぎしてる。どれだけツッコんだのかわからねえけど、大概にしとかねえと、蘭の雷が落ちるぞ? そう思っていたらデスクの上の電話が鳴った。 「もしもし、名探偵・毛○小五郎の事務所です。……ああ、警部殿」 相手は○暮警部のようだ。俺はそれとなく聞き耳を立てる。 「……金持氏のお宅に? ええ、伺いましたが? 四日ほど前だったでしょうか。それが何か? ……………………何ですって? 金持氏が殺されたぁ!?」 驚いたおっちゃんが立ち上がるのとほぼ同時に、俺は応接セットから下りてデスクに向かう。 「…………なるほど、私が金持邸を辞去した日の、その夜から行方が分からなくなっていた、と。捜索願は…………なるほど、出していたんですな? で、今朝、ご遺体が見つかった、と」 そして、かすかだが、電話口からの声が聞こえた。 『ああ。だが、それがちょっと奇妙な状況でな。今、高○を迎えにやらせとる。君にも来て欲しいんだが?』 「わっかりました、警部殿! この毛○小五郎、必ずやお役に立って見せます!」 おっちゃんが受話器を置くのと同時に、俺は聞いた。 「ねえ、おじさん、金持さんって、この前、おじさんが報告書を届けに行った人だよね? 殺されちゃったの?」 「ああ。詳しいことは向こうに着いてからだが、ちょっと妙な状況らしい。俺は、現場に行ってくる。ボウズは、留守番してるんだぞ!」 「あ、ちょっと待って、おじさん、僕も行く〜!」
迎えに来た高○刑事の車、その後部座席に乗り込むと。 「ああ!? ボウズ、留守番してろって!」 おっちゃんが言ってきたが、 「ええ〜、いいじゃない、連れてってよ、いいでしょう?」 助け船でもないだろうけど、高○刑事が「まあまあ、いいじゃないですか」と、苦笑交じりに言った。 「まったく、このボウズは」と、助手席のおっちゃんが不機嫌そうに言ったところで、車が発進した。
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