ペタ。
そんな音が連続して聞こえ始めた。 何だろうと思っていると、みんなが音のする方を見て、なんだか驚いている。ていうか、ギョッとしている。 気になって物陰から出てそっちを見ると、
えええっ、なんだありゃ!?
俺が見たのは、人間が乗れそうなほど大きなアマガエルが、ペタペタと廊下を歩いて来るところ。 本当に、何だ、アレ!? ていうか、あんな巨大なアマガエル、なんなんだ、ホントに!?
「ケロ美! 出てきちゃ、ダメじゃないか!!」 そう叫んだ川津さんに向かって、辺見さんが驚いたような声を出した。 「ええッ!? あれが、ケロ美!? あのウシガエルほどもあったアマガエルの!?」 みんなが驚いてるけど、俺も驚いてるわ! ケロ美とか、ウシガエルとか、そんなんどうでもいい。 だから、あんな巨大なカエル、本当にこの世の生物か!? ケロ美、と呼ばれた巨大なアマガエルはペタペタと歩き、やがて川津さんの前まで来ると。
ケロッ。
と、何かを吐き出した。それを見た高○刑事が、唖然として言った。 「警部、これ、人間の下半身、その白骨ですよ……」 警部も、唖然として答えた。 「た、確かに」 みんなが自然と川津さんを見る。 川津さんが下を向き、右手でケロ美とかいう怪物体の頭部を撫でながら、一旦、息を詰まらせ、言った。 「僕は青いアマガエルを作りたくて、色々と実験を繰り返した。ケロ美はその過程で生まれた突然変異体なんだ。なんかよく分からないけど、モリモリと大きくなっちゃって、こんなことに」 おいおい、研究家が「なんかよく分からないけど」なんて言っちゃダメだろ……! 川津さんが顔を上げ、ケロ美という怪物体を見て告白を続ける。 「研究を続けるのには、お金がかかる。それに、ケロ美の餌代だってかかる。僕にはお金が必要だったんだ」 葉枝さんが、半ば同情したように言った。 「それで、オヤジを殺して遺産を……」 頷き、川津さんは言う。 「それだけじゃない、ケロ美を見た父さんは『怪物!』って言ったんだよ、僕のかわいいケロ美を、怪物って!」 いや、普通、言うだろ、それ。 涙を流し、みんなを見て川津さんは続けた。 「僕のそんな怒りを感じ取ったケロ美は、父さんを舌で絡め取って飲み込んだ。そして、林へ帰って行ったんだ。今朝、上半身だけ見つかったのは、多分、下半身は未消化だったからだと思う」 ケロ。なんて鳴いて、ケロ美はペタペタと歩き出した。どこへ行くのかと思っていたら、葉枝さんの研究室。そして器用にハエの入った瓶のふたを開け、舌を伸ばして中のハエを根こそぎ絡めて飲み込んだ。 そのあと、またペタペタと歩いて、今度は辺見さんの研究室。ケロ美が中を覗き込んだ瞬間、ザザザザッ!って音をさせ、一匹残らずヘビが檻の奥へ行って、隠れた。
カエルを見てヘビが恐れおののく。
いや、逆だろ、それ。
葉枝さんが川津さんを見て呆然と呟く。 「うちのハエが減ってたのって、やっぱり君のせいか……?」 高○刑事が言った。 「け、警部、これって……」 ○暮警部が「うーん」と唸ってから言った。 「犯人は川津天さん、動機は金銭に困っての遺産狙い、そして凶器は人間以上に大きいアマガエル……。裁判所が認めんだろ、こんなの」 「ですよね〜。逮捕状、下りませんよね……」 と、高○刑事が困り切った笑みを浮かべる。
なんだ、この事件?
まあ、シャーロック・ホームズも奇妙な虫を睨みながら発狂した男の事件は、解決出来なかったんだしな。生物の神秘には、探偵も敵わな……。
……って、本当に何なんだ、今回の事件?
☆おしまいっ!
あとがき
いろいろすみませぬ……(泣)。
「ウジ虫に喰わせて死体処理」というトリックは、ある二時間ドラマで観たものです。……なんですが。 そのタイトル、全然、思い出せないんですよ。どなたが出ていらっしゃったか、それも覚えてない。かなり古い作品だったって印象はあるんだけどね。
わかったら、ここに書かせていただきます。
いつも思ってること。
もしコナンが最終回を迎えて終了したら、アニメでは「新・名探偵コナン」とか、「名探偵コナンU」とかって銘打って、「江戸川コナンの事件簿」をアニオリのシナリオでやってくんないかなあ。
まあ、これはオイラ一人が思ってることかもしんないけどさ。
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