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作品名:○リキュア Psy! Bang! Shock! 第六話 作者:ジン 竜珠

第8回   第六話 アクタイオンの冤罪……?−8
『そいつのパソコンを調べたらいい!』

 リブラがため息をつく。
「そんなこと、認められるわけないでしょ」
 もっともだと思いながら、ヘルマは理鉈に言った。
「よろしいですか、判事代行?」
「なんでしょうか?」
「変則的ですが、こちらから原告に質問しても宜しいでしょうか?」
「認めます」
 理鉈も疑問に思っていたと見えて、即座に答が返ってきた。
 ヘルマは頷いてセイギズラーに聞いた。
「原告、あなた、この被告人を盗撮犯だと確信しているようですが、それが妙な荷物を持っているから、というのは根拠が弱いように思います。他の根拠はありませんか?」

『そ、それは……』

 セイギズラーはすぐには答えなかった。
 そしてしばらくおいて。

『勘です!』

 この瞬間、ヘルマは直感した。
『……こいつが真犯人か……!』
 だが、このセイギズラーの元になった人物が、原告のマナサマーヌの元になった人物に、個人的な怨みを抱いていて、「盗撮犯」にしてやろうと思っている可能性もある。
 ならば。
 咳払いをして、ヘルマは言った。
「判事代行、ここで証拠能力について、疑義が生じました。異例ではありますが、検察による原告に対する尋問を許可願います」
「許可します」
 理鉈からは速攻で返ってきた。
 ヘルマはセイギズラーに訊く。
「原告、被告人について、あなたの認知度をお尋ねします。被告人の姓名、生年月日、住所地、職業などについて、どの程度、知悉(ちしつ)していますか?」

『…………多分、大学生程度……? それ以外は、知りません……』

 何やら、落ち着かない素振りでスマホの中の「目」を、キョロキョロとせわしなく動かしながら、セイギズラーが答える。
 こめかみに青筋を立てて、理鉈が言った。
「刑事訴訟法第三百十八条に則り、原告の提示した証拠について、本法廷は不採用とします!」
 セイギズラーに対して苦々しい思いを抱いてヘルマが言った。
「検察は、本件について一切の公訴を取り下げます!」

『ちょ、ちょっと、あんた、そんな!』

 セイギズラーが慌てたようにオロオロし始めた。
「やかましい」
 ヘルマとリブラの声がハモる。そして。
「○リキュア・リバティーソーサー!」
「○リキュア・アキューゼイション・チェーン!」
 リブラとヘルマ、二人の必殺技が炸裂する。どうやら、リブラもセイギズラーに対して、抱いた思いは同じだったらしい。

『ぐっぱぁぁぁぁ!!』

 セイギズラーが吹っ飛ぶ。ジャスティスでないと完全消滅させることは出来ないが、それでも相当なダメージは与えることが出来た。美郁が来るまでの時間稼ぎには、なるだろう。
 そう思っていたら、あおむけに倒れたセイギズラーの顔から、光の塊が飛び出し、ある「形」になった。
「なに?」と、リブラが首を傾げて五、六メートルほどの高さに浮き上がった光の塊を見る。ヘルマも見上げた。
 するとその光は、開いたノートパソコンのような形状になる。そして、そのディスプレイに、映し出されたのは。
 リブラが言った。
「あ。あれ、ミークちゃんを盗撮した画像だ」
「え? あれが、そうなの?」
 それはスカートの内側の画像。ペチパンツを穿いているため、写っているのはショーツそのものではないが、それでも被写体に恥辱を与える写真には違いない。
 ヘルマはリブラと顔を見合わせる。リブラは苦虫を噛みつぶしたような表情になっていた。おそらくヘルマも同じ様な表情になっているに違いない。
 理鉈が呟くように言った。
「自分のやったことを、誰かに、なすりつけるつもりだったか。ゲスめ!」


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