翌日。 美郁が学校に行くと、何人かがこちらをチラチラと見てくる。 「? なんだろ?」 もしかして服に何かついているのかと、見回してみるが、確認できる限り何かがついているようではない。背中についているのなら、教室に着いてから誰かに確認してもらうしかない。 美郁はそのまま、教室に到着した。だが、途中でもそうだったが、教室についても何人かがこちらを訝しげに見ている。 とりあえず席に行き、右斜め前にいる希依に声をかけた。 「おはよ、ケイちゃん。ねえ、ボクの背中に何かついてるかな?」 「おはよう、ミークちゃん。別に何もついてないけど、なんで?」 「なんかさ、今日、いろんな人がチラチラ、ボクを見るんだ。それで服に何かついてるのかな、って」 希依はちょっと困惑した表情を浮かべた後で、自分のスマホを操作する。 「ミークちゃん、コレ」 そう言って見せられたのは、例の盗撮画像。 「……んなぁッ!?」 裏返った声が出た。真郁は「東町祭イベント」で検索したときに、「コスプレ」ワードの中で見つけたと言っていた。希依も、そのサイトだ。 「お祭りに行った人がいろいろとサイト巡りをしているときに、見つけたらしいの。顔は写ってないけど、ミークちゃんが着ていた衣装と似ているから、“そう”なんじゃないか、って。結構、いるみたい、気がついた人。この画像自体、別のサイトから拾ったって書いてあって。そのサイトは未成年者閲覧禁止だから、私のスマホじゃ見られないように設定されてるけど」 「……それなら、お父さんがチェックしてた。っていうことは……」 美郁は教室を見渡す。クラスメイト全員がスマホ片手に、美郁を見ていた。 その状況に美郁の頭は処理が追いつかず。 「んにゃーーーーーーーーーー!!」 無意識の内に、クラスを威嚇するような、そんな雄叫びを上げていた。
昼休み。 結局、午前中は授業の内容がまともに頭に入ってこなかった。 あとで希依にノートを借りようと思いながら、持参した弁当を希依とともに食べ終わると、一人の男子が美郁のところにやって来た。 「四方さん」 と、男子が声をかけてきた。 「え、と、君は、上崎(うえさき)くんだったよね? そういえば、昨日、忌引きで休んでたよね?」 「う、うん……。実は、さ、話があって……」 と、頭をかく上崎を見ていて、ふと、ずっと気にしていた朝方のことが脳裏に甦ってきた。そして。
「ンナァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」 「うわぁっ、鍋島(なべしま)猫騒動ーーーーーー!?」 「ミークちゃん、落ち着いて!!」
と、そんな小さな騒ぎになった。
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