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作品名:○リキュア Psy! Bang! Shock! 第六話 作者:ジン 竜珠

第1回   第六話 アクタイオンの冤罪……?−1
 午後七時。
「ただ今」と、四方 育恵(しほう いくえ)が勤め先である佐波木市地方検察庁から帰ってくると。
「だから、お兄ィなんだよね、コレ!? 素直に白状してよ!」
「ミーク、俺が本当に、そんなことするとでも思ってるのかい?」
 よくわからないが、真郁と美郁が兄妹ゲンカをしてるらしい。
「どうしたの、二人とも?」
 声がしたキッチンに入ると、高校の制服から着替えないままにエプロンを掛けた真郁に、美郁が詰め寄っているらしい。美郁の手には、スマホがある。
「ああ、お母さん、お帰り」と、真郁が笑顔で言う。
「お帰り!」と、美郁は不機嫌な声で言う。
 育恵は二人に近づいて聞いた。
「えっと。どういう事情なのかしら?」
 真郁と美郁は顔を見合わせた後、お互いが決めていたというわけでもないのだろうが、困ったような笑みを浮かべて、真郁から話し始めた。
「一昨日(おととい)、ゴールデンウィークの最終日の東町祭(ひがしちょうまつり)、そこでミークがファッションショーに出たんだ」
「お兄ィ、だから、コスプレ撮影会だってば……」
 美郁の訂正に、一応(といった感じで)頷くと、真郁は続ける。
「いやあ、ミーク、よかったなあ……。この調子でいけば、ミークがアイドルになる日も近いなあ……」
 何やらボウッとなる真郁に向かって、美郁がわざとらしく咳払いをする。
 正気に返った真郁は言った。
「大勢の人が撮影してたんだけど、中に不届きなモノがあって!」
 不機嫌な表情で、思い切り鼻から息を吐くと、美郁がスマホの画面を育恵に見せた。
 そこに映されていたのは、スカートを覗き込むような、ローアングルのもの。それも、複数。
 画像を解説するように、真郁が言う。
「偶然写ったものじゃなく、明らかに狙ってるね、これは」
「ショーツの上にペチパンツ穿いてたから、それは幸運だったけど、そういう問題じゃないよ、これは! それに、顔こそ写ってないけど、衣装なんかを照合したらボクだって丸わかりじゃないか!」
 そう言って、憤慨しながら美郁は言う。
「あらあら、まあまあ」
 とは言ったものの、親としては、いい気分ではない。もし、この撮影者が目の前にいたら、検察官という公職より前に、美郁の母親としての立場を優先するに違いないだろう。
「だから、俺がかわいい美郁のそんな写真を撮って、ネットにアップするわけないだろ?」
「意図して上げたんじゃなく、流出したってこともあるだろ!?」
 日頃の溺愛ぶりから、美郁の中ではこの撮影者が真郁ということに確定しているらしい。
「まあ、ちょっと落ち着けよ、ミーク。俺も、今、ミークから見せられて頭にきてるんだ。それに、冷静になって思い出して欲しい。あの日の撮影会場、パーティションポールとベルトで仕切られてただろ? こんな写真を撮るためには、ベルトより、内側に入らないと無理だって」
 その言葉に、美郁は画像を見て、少しだけ顔を上向きにして、天井に目を向ける。自分の記憶と照合しているらしい。少しして、何かに気づいたように美郁は言った。
「確かに……。ボクたちモデルは、一段高い台の上に立ってはいたけど、その台から仕切りまでは、二メートルぐらいは、あったかなあ」
 そして、真郁を見て美郁は頭を下げる。
「ゴメン、お兄ィ、ボクの早とちりだったみたいだ」


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