昼下がり、街を一望できる丘の上に立ち、ダンザインのリーダー・ドクゼーンは風にマントと髪をなびかせながら、青空を眺めている。 その瞳は憂色に彩られ、口からは哀しみの息が漏れる。 「声にならぬ声、されど声にしたい声、声にすべき声。体を震わせ、心を縛り、必死に耐える者の声」 両腕を大きく広げ、ドクゼーンは宣言するかの様に言う。 「いいだろう、この私が汝らの想い、うつけ者どもに知らしめてやる」
右手に、『あるエネルギー』を集め、青空に向ける。
「我こそ正義、我こそ真実。悪を裁け、罪を裁け、……悪は断じて許さず! 出でよ、セイギズラー!!」
ドクゼーンは左手を右手に添え、一気に振り下ろして、そのエネルギーを街へ発射する。文字の繋がったような光の帯が現れ、空中のエネルギーを拾うように動いて、地上で一つの形に実体化した!
美郁と希依は、商店街で買い物をしていた。今夜は、睛のお祝いパーティーを睛の家でするのだ。真郁も特に予定がないということで、料理を担当してくれるという。 なので、真郁が書いたメモを元に、食材の買い物をしている。ちなみに真郁は別の食材の買い出しに、ショッピングモールへと向かった。 「ミークちゃんのお兄さん……真郁さんって、本当にお料理が上手よね。今度、教えてもらいたいな」 「ホント? それ聞いたら、アニキも喜ぶよ」 笑いながらスーパーから出たとき。 地響きがして、人々の悲鳴が聞こえた。同時に。 「! ケイちゃん、これ!」 希依が頷いた。 「ええ! ヒボウのエネルギー……よね、これ?」 希依が首を傾げた様に、イヤなエネルギーには違いないが、いつもとはちょっと感じが違う。 美郁も頷いた。 「うん。なんていうか、胸が締め付けられるようなっていうか……。でも!」 頷き合い、美郁と希依は荷物をそこに置き、悲鳴が聞こえる方へ走り出した。
そこにいたのは、全高三メートルほどの白い人型の物体。その顔に表情はなく、マネキンのよう。ノースリーブの黒いブラウスに、ピンク色のロングスカートを穿き、パールホワイトのパンプスを履いた、そんな姿形で、ロングヘアーの女性、といった怪物体だ。特徴的なのは、胸に縦長長方形のスマホの様なものが付いていることだ。 怪物体が体を震わせる。だが、吠えない、いつもなら『セイギズラァァァァ!』と吠えるところだ。 それに少々、奇妙なものを感じたが、美郁は希依に言った。 「いくよ、ケイちゃん!」 「ええ!」 そして二人は変身した。
変身した美郁は、左手を斜め前に突き出し、宣言した。 「ギルティ!」 右手を斜め前に突き出し、宣言する。 「オア、ノット・ギルティ!」 その両手を前で「パン!」と打ち合わせ、宣言する。 「真実はどこにあるか、ここに明らかにしましょう!」 そしてポーズを決め、宣言した。 「我が名は○ュアジャスティス!」
変身した希依は両腕を上に上げ、 「公正なるは無私の太陽の如く」 そして胸の前で両腕を交差させて言った。 「時に暖かく、時に冷静に事件を見て被告人を護る弁護人」 ポーズをつけて宣言した。 「○ュアリブラ!」
二人の声が揃う。 「○リキュア・Psy-Bang-Shock! ここに開廷します!」
|
|