放課後になり、帰宅部の美郁と希依は学校を出る。実は美郁は「料理研究会」に興味があったのだが、やはり○リキュアに専念した方がいいとの判断になったのだ。 「お兄ィにばかり、ご飯の支度とかさせる訳には、いかないしね」 母が転勤族ということもあって、食事の支度はもっぱら父と兄、そして比重はより兄の方にのしかかっている。少しでもその負担を減らしたかったのだが。 「そうなんだ」 「うん。お料理教えて、って言っても、お兄ィは、そんなの気にするな、って言うばかりだし」 「素敵なお兄さんじゃない」 「うざいだけだよ〜」 希依と一緒に商店街まで行った時だった。 「! ケイちゃん、これって!?」 「うん! ヒボウだわ!」 希依が厳しい表情でうなずく。おそらく、美郁も同じ様な表情になっていることだろう。 ヒボウのエネルギーが漂ってきたのだ! 二人して、中央区のオフィス街の辺りを見る。 二人には見えていた。 黒いエネルギーが、ゆるやかな渦を巻く竜巻のようになって、立ち上っているのを!
オフィス街に到着すると、そこにいたのは、右目を隠すように前髪を伸ばしたボブヘアの女。 「ミス・テイクだね? 性懲りもなく、また来たんだ!」 肩をすくめ苦笑を浮かべて、大げさに首を振るとミス・テイクは言った。 「あらあら、あなたたちのスケジュールを優先してあげてるのに、エラい言われよう。……まあ、いいわ」 そしてミス・テイクは左手を顔の横に挙げて言った。
「我こそ正義! 我こそ真実! 悪を裁け! 罪を裁け! 悪は断じて許さず! 来なさい、セイギズラー!」
黒い竜巻がほどけ、周囲にバラまかれる。しかし程なくして散っていた黒いエネルギーは、道の真ん中で一つの形になった。 『セイギズラァァァァ!』 そこに、体高五メートルほどの巨人が現れる。人の形をしていて、顔には目と思しき二つの光点、口らしき円弧。それはまるで、薄笑いを浮かべているかのような、上弦の月。 だが、頭部のてっぺんにはスマホのような縦長方形の物体がある。いや、それどころか、全身にスマホのようなものや電話機のような物体が、たくさんついているのだ。異様な姿であった。 「ケイちゃん、行くよ!」 「うん!」 そして二人は変身した。
変身した美郁は、左手を斜め前に突き出し、宣言した。 「ギルティ!」 右手を斜め前に突き出し、宣言する。 「オア、ノット・ギルティ!」 その両手を前で「パン!」と打ち合わせ、宣言する。 「真実はどこにあるか、ここに明らかにしましょう!」 そしてポーズを決め、宣言した。 「我が名は○ュアジャスティス!」
変身した希依は両腕を上に上げ、 「公正なるは無私の太陽の如く」 そして胸の前で両腕を交差させて言った。 「時に暖かく、時に冷静に事件を見て被告人を護る弁護人」 ポーズをつけて宣言した。 「○ュアリブラ!」
二人の声が揃う。 「○リキュア・Psy-Bang-Shock! ここに開廷します!」
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