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作品名:○リキュア Psy! Bang! Shock! 第三話 作者:ジン 竜珠

最終回   第三話 ダモクレスの剣(つるぎ)−9
 ヒボウとは違う、しかし不快なエネルギーが近づいてきたのだ!
 理鉈の表情が険しくなる。
 夕闇の中、エネルギーの主は、高所からゆっくりと降下してきたように、ふわりと地上に足をつけた。長い銀髪を風になびかせ、マントを着けたその人物を見て、理鉈が言った。
「ドクゼーン……」
 理鉈が「ドクゼーン」と呼んだ人物は不敵な笑みで言った。
「お初にお目にかかる、○リキュア。私がダンザインのドクゼーン、正義の執行者だ」
 その言葉に引っかかりを覚え、美郁は言った。
「君がやってること、どう見ても『悪』なんだけど?」
「なるほど? だが、それならそれで、私は知りたいのだ、『正義とは何なのか』とね」
 相変わらず不敵な笑みで、いきなり難しいことを言ってくる。
 ふと。
「ほう? 何やら見覚えがあると思ったら、『アラヤの一族』ではないか」
 その言葉に理鉈が応える。
「その節は、うちの宝物庫を荒らしてくれて、どうもありがとう」
 ドクゼーンに負けない不敵な笑みで皮肉を言う……が、やはり、どこか眠そうだ。
 しばらく無言でにらみ合う美郁たちとドクゼーンだったが。
「我が世界では現れなかった○リキュアが、この世界で現れた。私は、感動すら覚えているのだよ。どうか君たちの『正義』を見せて欲しい。……失望させてくれるなよ?」
 そして光の粒子を伴った風に巻かれ、目を細めるそのわずかな間に、ドクゼーンは姿を消した。
「これから、たいへんだと思うけど、ミークちゃんとケイちゃんには、本当に期待してるんだ。私も全力でサポートするから、頑張ろうね」
 その言葉に、美郁は決意も新たに頷いた。


 翌朝、二−D。
 飯田木之菓は誰よりも早く来ていた。そして深呼吸を何度も繰り返し、決意を確認する。
 しばらくして引き戸が開き、日直の女子生徒がやって来た。木之菓は立ち上がり、その生徒に近づいた。そして。
「あの!」
「わ! な、なに?」
 驚いている生徒に構わず、木之菓は言った。
「今日の六時間目のロング・ホーム・ルームで簡単な議題があるの! 先生には、もう話してあるから!」
「……う、うん。わかった。先生に言ったらいいのね?」
「うん。プリントも作ってきて先生にコピー、お願いしてるから!」
「うん。わかった」
 そしてその生徒は、首を傾げながら自分の席に鞄を置きに行く。
 胸の鼓動は、早鐘どころではなかった。今にも心臓が爆発しそうだ。ここまでのことをして、何も変わらなかったらどうしよう!?
 しかし。
 何があったのか分からないが、昨日の夜辺りから、心境に大きな変化があった。
 自分は一人じゃない、味方がいる。そんな思いが胸に小さな灯火となって、輝いているのだ。
 話そう。みんなに話そう。
 もちろん、あまりにセンシティブな部分については慎重になるべきだが、それについては昨夜、祖父母と相談して作ったプリントを手に、やはり昨夜、簡単にだが、先生と電話で相談した。

 きっとうまくいく。
 右手を強く拳に握り、胸に当てる。
 灯火が、また光ったように感じた。


(○リキュア Psy! Bang! Shock! 第三話・了)


あとがき


 続いちゃった……。テへ(苦笑)。
 もう、完全に「プリキュア」とは別物ッスな。なんか、重すぎるわ。ほんと、ごめんなさい。

 どういうペースになるかは分かりませんが、ラストまで書かせていただけたら、有り難いです。


 今さらながら、なんですが。○ュアジャスティスが「白と紫のツートンカラー」の理由。最初は「無罪=白、有罪=黒」で「白と黒のツートンカラー」にしようかと思ったんですが、ぶっちゃけ「地味」。で、風水では黒のかわりに紫を使うということなので、黒のかわりに紫を持ってきました。


※本作は、あくまで「一つの考え方」を提示しているに過ぎず、絶対的なものではございません。その辺りをご了承いただけましたら、幸いです。


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