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作品名:○リキュア Psy! Bang! Shock! 第二話 作者:ジン 竜珠

第5回   第二話 アストライアの帰還A−5
 学校が終わり、下校時間。
 坂道を下り、美郁は希依とともに下校していた。
「ミークちゃんは、何かの部活に入るか、決めた?」
「え? ボク? んー……。一応、生徒会で登録されてる部活のパンフはもらったけど」
 昼休み、パンフレットをもらいに行ったら、そこに生徒会長の理鉈がいた。彼女の表情は前に見た時のように、やや眠そうな感じの笑顔だったが「○リキュアに専念しろや」のようなテレパシーがビンビン飛んできたので、ここは帰宅部を選ぶのが無難だろう……。
「そうだ、ケイちゃんは何の部活に入ってるの? 参考にしたいから教えてよ」
 希依に水を向けてみる。
「私は、帰宅部。ミークちゃんに話したことがあると思うけど、うちは父が単身赴任、母は帰りが遅いから。私がお夕飯の支度をしてるから、部活はちょっとね」
「ああ、そうか、ケイちゃんには、小学校に通う双子ちゃんの妹がいたんだっけ? 今、何年生?」
「三年生。なんか、いろいろとお料理を手伝いたがるんだけど、危なっかしくって」
 と、それでも希依はうれしそうに微笑む。
「いいなあ。うちは高校生のアニキだもん、ボクに対して妙に過保護で困るよ。出来ればケイちゃんのところと取っ替えてもらいたいぐらいだ。でも。そっか。ケイちゃんは、帰宅部か」
 パンフに目を通した時に、興味のある部活があるにはあったが。
“やっぱり○リキュアに専念しなきゃ、ダメなんだろうなあ”
 そう思ってため息をついた時。
「………………!?」
 あの時感じた、イヤな感じが背筋を駆け上った。
『……ヒボウだ!』
 直感でわかった。そしてヒボウのエネルギーが流れてくる方を探る。
「……ねえ、ケイちゃん、あっちの方角……商店街とは反対で、市民運動公園?だっけ? そのもっと向こうって、確か中央公園があったよね?」
「うん。それがどうかした?」
「ごめん! ボク、急用が出来たから、ここでバイバイするね!」
 そう言って、美郁は駆け出す。背後で希依が何か言っていたが、聞き取れなかった。
 多分、「何かあったの?」だったように思った。

 中央公園から、人々が逃げ出してくる。間違いない、あの怪物がいる。
 公園が近づき、公園を取り囲んでいる木々の影から、一体の怪物の姿が見えた。奇異な姿をしている。四本の腕に四本の脚、四つの目に二つの口。まるで、二人の人間が合体したような姿だ。
 公園の中に入った時、美郁のスマホが何かを着信した。
 スカートのポケットから出すと、画面はある掲示板を表示していた。
「……これ、確かあのタレントの不倫……」
 スレッドは「タレント羽屋納総子の不倫」。
 書かれていたのは。

『誠実そうに見えても、その本性はただのメス豚』
『美人だと思っていい気になってる』
『この人、前も不倫で騒がれてたよね。話題が大きくなる前に消えたけど』
『それ事ム所の圧力で潰された』
『前に住んでたマンションでご近所トラブル起こして訴えられてた』
『あの顔、整形してるんじゃない?』
『子供がかわいそう』
『旦那がかわいそう』
『枕営業やり過ぎて、感覚が麻痺してる』
『こりゃ干されるな』


 もっと非道いことも書かれていた。そしてそのような言葉ばかりが、溢れかえっていく。
 ふと、美郁は違和感を覚えた。
「え? なんだろう、何かが繋がっているような……?」
 意識を集中する。そして気がついた。
「セイギズラーの頭にある、アレに表示されてるのと同じだ!」
 セイギズラーの頭には、スマホのような縦長長方形の物体がある。その物体の表面に表示されているのが、今、手にしているスマホの表示と同じなのだ!
 それだけではない。そのスマホ状の物体から何かが放射され、あちこちに繋がっているのが感じられる。おそらく、全国の、PCやスマホを見ている人々に繋がっているのだろう。そういった人々の中からこの事態を面白がった人が、また書き込んでそれが表示されているように感じた。
 スマホを持った手が怒りで震える。

 人の不幸を面白がって、こんな風に書き込みをしてあおるなんて、許せない! 確かに不倫をしたことはいけないと思うけど、それって、その家庭の問題なんじゃないの!? どうして無関係のあなたたちが、騒いでるの!?

 そんな怒りとともに、美郁は○リキュアに変身するためのアイテム「プリ・タブレット」を出して、○ュアジャスティスに変身した。

「初めまして〜、○・リ・キュ・ア」
 まるでハートマークでもつけていそうな軽い調子の、女の声がした。そちらを見やると、この間の男とは違うが、同じ空気を持った若い女がいた。
 直感的に思い、ジャスティスは言った。
「あなた、ミス・テイクね?」
 ちょっと驚いたような表情を浮かべた女は、ケラケラと笑って答えた。
「さすが伝説の戦士○リキュア! 私たちのこともご存じなのね! なら、話が早いわ。あなたの正義を、見・せ・て?」
 挑戦的な笑みで女が言うと、セイギズラーが咆哮した。


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