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作品名:○リキュア Psy! Bang! Shock! 第一話 作者:ジン 竜珠

第5回   第一話 アストライアの帰還@−4
 美郁はバッグから、ペンを挿した手帳を出す。
 今なら開く!
 そう確信して、美郁はペンを抜き、手帳を開いた。それはケースに入れたモバイル端末のように、画面があり、そこに文字入力のキーボードがあった。
 決意とともに、美郁は言った。
「○リキュア、ジャッジメント!」
 キーボードの「J」「U」「S」「T」「I」「C」「E」「ENTERキー」を入力する。すると、美郁自身が光に包まれ、画面の表示も変わった。
 そこに映し出されていたのは、司法の女神・テミス。その中で、テミスの右手にある剣が光を放つ。美郁はペンでその剣をスワイプする。直後、その剣が画面から飛び出し、美郁の周囲をグルグルと飛び回り始めた。その中で美郁の身なりが変わっていく。白と紫の混在する上着、白と紫が縦に交互に並んだプリーツスカート、右腕に白い長手袋、左手に紫色の長手袋、対して右脚には膝上丈の紫色のロングブーツ、左脚には同じく膝上丈の、こちらは白いロングブーツ。
 髪もショートヘアから、えり足が伸び、伸びた髪は宙で自動的にポニーテイルに結われたが、根元から二筋に分かれた。右側に流れた髪は白く、左側に流れた髪は紫色に。髪全体も、白と紫が混在していた。そして五つの宝珠がついた金色のティアラが現れる。
 胸の中央には、直径三〜四センチほどの、判事バッジと同じ形の鏡面処理されたような八咫鏡が現れ、その中には白と紫色の太極のマークがあった。
 宙を舞っていた剣は二つに分かれ、白く光って美郁の腰の後ろから膝裏までを覆う、右が白く、左が紫色の二叉(ふたまた)のケープ状の物になる。
 最後にベルトの右腰にあるポーチに手帳を収納し、左腰の鞘にペンを挿し込む。ペンを挿すと鞘から鍔を思わせる二本の角のように、金色のパーツが起き上がる。
 光が消えると、美郁は左手を斜め前に突き出し、宣言した。
「ギルティ!」
 そして右手を斜め前に突き出し、宣言する。
「オア、ノット・ギルティ!」
 その両手を前で「パン!」と打ち合わせ、宣言する。
「真実はどこにあるか、ここに明らかにしましょう!」
 そしてポーズを決め、宣言した。
「我が名は○ュアジャスティス! ○リキュア・Psy-Bang-Shock! ここに開廷します!」
 光に包まれていた時間は、美郁の体感では十数秒程度あったように思ったが、どうやら一瞬だったらしい。周囲の様子に全くといっていいほど変化はない。
 男が目を見開き、驚愕の表情とともに言った。
「な……ッ!? ○リ……キュア……だと……!?」
 だが、それに構わず、美郁……ジャスティスは跳躍し、怪物を蹴り倒す。
「何をしている、セイギズラー! お前の正義を見せてやれ!」
 男の言葉に、倒れていた怪物・セイギズラーが起き上がる。そして、体を少し開いて、そこから赤い円盤を何枚も打ち出す。それは大きなトマトのスライスに見えた。ジャスティスはトマトをよける。地に命中したトマトは「ベチャッ」と湿った音をさせて爆ぜる。
 そんなことが何回か繰り返され、ジャスティスが着地した時。
「! しまったッ!?」
 辺り一面、赤い液体が広がっていて、滑りやすくなっていた。なんとか転倒は防いだが、体勢が不安定になる。セイギズラーが体を回転させ、別の断面を見せる。
『セイギズラァァァァ!』
 体が少し開き、そこから褐色の粘液を吐き出した! その粘液がジャスティスの足下を固める。
「う、動けない……!? この匂い……。ソース?」
 どうやら、断面ごとに違うタイプのサンドイッチらしい。
 再びセイギズラーが体を回転させ、別の断面を向けた。
『セイギズラァァァァ!』
 今度、吐き出されたのは、ツナの小さな塊。まるでマシンガンの弾丸の如く吐き出され、辺りを爆煙が覆う。
『セイギズラァァァァ!』
 三度(みたび)、体を回転させ、褐色の粘液を吐き出した面を向け、開いた体からカットしたトンカツらしきものを取り出す。そしてそのトンカツを、爆煙の中に振り下ろした。
 男もセイギズラーも、トンカツに殴り倒されて、地に横たわっているジャスティスを想像したことだろう。だが!
 爆煙が収まった時、そこに左腕一本でトンカツを受け止め、しっかりと立つジャスティスがいたのだ!
「ごめんね、キミの攻撃、全然、効いてないんだ」
 不敵な笑みを浮かべ、ソースで固められたはずの右脚を振り上げてセイギズラーの腕を蹴り飛ばす。その威力で、セイギズラーが吹っ飛ぶ。
 なんとか着地したセイギズラーだが、よろよろしている。
 ジャスティスが地を高速で滑るようにダッシュし、セイギズラーにパンチのラッシュを浴びせる。吹き飛んだセイギズラーは、トマトスライスの面を向け、そこからレタスを引き出す。そのレタスをマタドールが使う赤いマント……ムレータのようにしてジャスティスのパンチをいなすが、それも二、三発のこと。すぐにレタスのムレータは千切れ、パンチの連打でセイギズラーはまた吹っ飛び、土煙を上げて地に倒れた。
『セ、セイギ……ズ、ラァァァ……』
 数メートル高く飛び、さらにそこから数メートル先に墜落したセイギズラーが、体を引きつらせている。


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