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作品名:わが支社でも始めることにしました。 作者:ジン 竜珠

最終回   4
 近所の公園にあるスピーカーから、五時になったことを報せるメロディーチャイムが鳴り始めた。
「ふう。五時ね。じゃあ、今日のところは」
「あ、うん、ご苦労様。本当に仕事がきれいに片付いたよ、有り難う」
 俺がお礼を言うと、女性は頬を紅くし、
「お役に立ててうれしいです」
 と、お辞儀した。あ、なんか、かわいい。
「あの!」
 不意に、女性が俺に近づいた。
 ちょっと驚いて、ピンク色の妄想に走りそうになっている俺に、女性は言った。
「あの、お願いがあるんですけど!」
「お願い? なんでしょう?」
「明日、保育園、休みなんです、なので、娘を、ここに連れてきてもいいでしょうか?」

 ………………………………


「あー……。えー、と……。……はいぃぃぃ、娘?」
「はい。娘を入れてる保育園、不祥事があって、明日、保育園に家宅捜索が入るとかで、それで……」
 あ、なんか、ニュースで見たな、それ。
「それで、他に頼るところもないし。いいですか?」
「ああ、まあ、そういう事情でしたら……」
「よかった」
 女性が、笑顔になる。
「ということは、あなたにとって、姪、ということになりますね」
「あー、そう、です、ね?」
「すると、経費の方は、どうなるのかしら?」
 そして女性は携帯を出し、組合長さんと話を始めた。
 しばらくして、結論が出たらしい。
「今回に限り、特例として、組合の方で経費を持ってくれるそうです」
「そうですか、それはよかったですね。ところで『姪』がいた場合の経費、ってなんですか?」
「娘の費用(ひよう)弁償(べんしょう)です」
「俺のうちに来るのは、出張扱いなんですね、保育園児の娘さんにとって!?」
 じゃあ、保育園に行くのは出勤か!?
「それでは、また明日もよろしくお願いします。あ、パソコンについては私の私物ですので、ロックをかけておきました。開けませんので、そのおつもりで」
 そして、女性は帰っていった。
「おーい、それじゃあ、俺のパソコンは、誰が弁償してくれるの? あなただよね? つーか、俺、観たい動画とか、観られないよね?」
 その辺、明日、きちんとさせておかないとならない。
 あと、娘さんも来るって言うから、お菓子とかも用意しといた方がいいかな?

 姪が来たら、「メイワーク」か。

 めんどくさいな、イモートワークって。


(わが支社でも始めることにしました。・了)


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