日曜日の午前中、ち○はいつものように○どか、ひな○と公園に来ていた。 ひな○が情報誌を手に言った。 「ねーねー、電車で二駅ぐらい行くんだけどー、植物園がオープンしたんだってー! 今度、行ってみよーよー!」 と、情報誌の該当のページをこちらに向けてくる。 「うわあ、きれー」 ○どかが、ぱぁっと花が咲いたような笑顔になる。ち○もそのページを見た。花びらが重層的に咲いた花で、キャプションによれば「クリスマスローズ」とある。確かにきれいだ。こういった物を見ると、自然の造形美とともに、不思議な何かを感じる。もっとも、品種改良によってこのような美しい形になった花も多いし、この花も、説明文では品種改良されたものらしい。 だが、人の手が入らずに信じがたい形状になったものもある。 例えばサギソウ。花弁がサギが翼を広げたかのような形をしているが、自然において、花弁があのような形状をしている必然性はない。観測者が「美しい」「鷺(サギ)に似ている」と感じたときにのみ、はじめてその形状に意味を見いだすことが出来るが、その「観測者」は、高度な感性を持っている必要があり、この世界においては人類以外にない。そうなると、サギソウは人間に対して自分が「サギが翼を広げているようでしょう?」とアピールしていることになる。 様々なエレメントと接している今となっては、そのような可能性も考えられなくもないが、もしそうなら、地球の調和は人類に任されていることになる。それはつまり、人類に地球を守る義務があるということでもある。 「……ち○ちゃん、ち○ちゃん」 「……ち○チー、、ち○チーってばぁ」 ふと、二人の声が聞こえた。 「あ、ごめん、なに?」 そう言うと、○どかが言った。 「どうしたの、ち○ちゃん、難しい顔してたけど?」 「え? 私、難しい顔してた?」 うなずき、ひな○も言った。 「なんか、英語の授業でも受けてたみたい」 「……それって、難しい顔なの?」 よくわからない例えだ。ペギ○ンが言う。 「英語の授業はどうかわからないけど、悩み事でもあるように見えたペエ」 「ああ、なんか悩みでもあるのか?」 「悩み事なら、ラビ○ンたちにも、話して欲しいラビ」 ペギ○ンたちも心配そうにち○を見ている。 皆の気遣いがうれしくなって自然に口元に笑みが浮かび、ち○はペギ○ンを胸元に抱いて言った。 「ごめんね、みんな。悩み事とか、そういうんじゃないの。ちょっと考え事してたから」 「考え事?」と、○どかが首を傾げる。頷いて、ち○は先刻の自分の考察を話す。 ○どかが笑顔になる。 「私もね、時々、そう思うときがあるの」 「○どかも?」 「うん」 ○どかは頷いて答える。
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