20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:○リキュア、第2話ぐらい? 作者:ジン 竜珠

最終回  
 シツボーグのメスを剣で弾き、回り込んで、ナイトは斬りかかる。その一撃を受け、シツボーグがよろけた。だが、シツボーグも体勢を整え、今度は注射器を向ける。ナイトは、距離をとれば大丈夫と思ったか、バックステップで間合いをとる。だが、シツボーグは「それ」で刺すのではなく、その先端から、液体を発射した!
 まさか、そういう攻撃とは予測していなかったのか、ナイトがまともに液体を浴びる。すると、ナイトが片膝をつき、言った。
「……うぐ、……眠い……」
「! 麻酔薬なんだわ!」
『シツボォォォォォォォォォグ!』
 シツボーグがメスで斬りかかる。かろうじて、それを剣で受け、はじき返すが、ナイトはフラフラだ。
 すると、シツボーグの兜(かぶと)の上から、白い五角形のものが降りてきて、口元に来た。一瞬、マスクかと思ったが、それが展開する。どうやら、薬包のようだ。
『シツボォォォォォォォォォグ!』
 開いた薬包から、白い粉が吐き出され、辺りに充満する。さながら白い煙幕だ。
「いけない、シツボーグが見えない!」
 エミィが思った時、悲鳴とともに金属音がして、ナイトが倒れるのが見えた。煙幕をなんとかしないと! そう思って魔法を発動させる。
「風よ風よ、霧を晴らして!」
 エミィが出した杖から光があふれ、風が吹く。そして、白い煙幕を吹き飛ばした。すると、まさに、ナイトの背後からシツボーグが斬りかかるところだった!
「ナイト、後ろ!」
 その声に、振り返ってナイトがメスを剣で受ける。だが、麻酔が効いていて、その攻撃を支えるのも、限界だ。
「ぐうううう……!」
 苦鳴とともに、ナイトが片膝をつき、両手で持った剣が下がっていく。
「麻酔の効果を打ち消さないと!」
 覚醒系の魔法を使おうとした時、なぜか、閃いたキーワードがあった。特に考えず、エミィは魔法を発動させる。
「辛いの辛いの、こっちにおいで! ハバネロソース、ゴー!」
 真っ赤な光が杖から発射され、ナイトを包む。次の瞬間。
「んばぁあぁぁーーーーーーーーー!! 頭の毛穴から火が出るぅぅぅぅぅ!!」
 叫んで、ナイトが立ち上がり、剣でシツボーグを殴り飛ばす。その衝撃でシツボーグの右肘から先のメスが外れた。
「くあっはあぁあああぁああぁぁああぁぁ!! 辛い辛い辛い!」
 叫んで、ナイトが辺りを駆け回る。少しして。
 立ち止まり、ゼェゼェと肩で息をして、ナイトが涙目で言った。
「死ぬかと思った。シツボーグの攻撃よりも、キツいよ〜」
「……………………ごめん。それより、今のうちに!」
「うん!」
 ナイトが髪飾りのホープ・ジュエルを外し、ホープ・ジュエル越しにシツボーグを見る。
「希望の星はどこ!?」
 ちょっとして。
「あった! 胸の中心!」
 ナイトがスクエアミラーを構える。
「光の章! 輝く刃!」
 ナイトが光の刃を持ったページを、スクエアミラーに挿し込んだ。
「○リキュア、ドリーム・スラァァァァッシュ!」
 光に包まれたナイトが駆け抜け、シツボーグの胴を横薙ぎに斬る。駆け抜けていった時、ナイトの左手には、希望の星が輝いていた。
 そして、シツボーグが消滅した。
 剣を構え、ナイトが言った。
「夢と希望を忘れないで! ドント・フォゲット・ヨア・ドリィィィィィィィム!」

 その時、一人の若い男がエミィの前に現れた。
 直感でわかる。警戒とともに、エミィが言った。
「あなた、カーナ・シー・エンパイアの人ね?」
 男がうなずく。
「俺の名前は、コードック。サービ・シー・ランドの王子だった者だ」
「……え? サービ・シー・ランドの?」
 ちょっとした衝撃が胸をつく。コードックと名乗った男は続けた。
「お前、ファン・タ・シー・キングダムの者だな? 今日のところは、宣戦布告だ」
 そして、姿を消した。
「サービ・シー・ランドは、確か、五年前に滅びたって……。生き残りの人たちは、世界中に散らばったっていうけど、まさか、王子がカーナ・シー・エンパイアに身を寄せてたなんて……」
 沈痛とも驚きともつかぬ複雑な思いが、エミィの胸の中で渦巻いていた。

 ナイトの手にあった希望の星が、ウッキューの持つクリスタル球に吸い込まれる。すると、それがウッキューの手を離れ、ある民家の擁壁(ようへき)にもたれるようにして、へたり込んでいた青年の頭上へ行った。
 そして球から光が涙滴に滴って涙滴の中に光が満ちる。そして涙滴がグルリン!と百八十度向きを変えた。その形状は、まさにエクスクラメーションマーク(!……びっくりマークである)。そのエクスクラメーションマークが光を放った瞬間、青年が目を見開き、そして立ち上がった。
「そうか、もしかしたら、エファプス……神経クロストークなのかも!? 葉太くんは、肩に大けがをした。その回復時に、隣り合った神経軸索が混線したのかも知れない! とすると、実際に痛みを伝えているのは違う場所! そういえば、葉太くんは、心臓が弱いって、問診票にあった。こうしちゃいられない! 早く心電図検査を! ……こんな基本的なことに気づけなかったなんて、なんて愚かなんだ、僕ってヤツは!」
 そして、青年は駆けて行った。
 変身を解いた夢華が、エミィのところに来た。
「ねえ、エミィ。さっき、エミィの前に現れた男、何者?」
「カーナ・シー・エンパイアの幹部だと思う」
「そうか。この前の、アイ・スクリームっていうヤツの仲間か」
「うん」
 夢華が、闇が消えて元通りになった街並みを見て、言った。
「私、頑張るよ! みんなの夢と希望を奪って世界を闇に変える、カーナ・シー・エンパイアの野望から、みんなを護る!」
 その瞳には、強い決意がまばゆい光を放っている。それにたのもしいものを感じ、また、自分の中にも決意の光が生まれるのを感じて、エミィはうなずいた。
「私も、頑張る。夢華、二人で力を合わせて、夢と希望を護ろ!?」
 夢華が笑顔になってうなずいた。
「うん! そのためにも、プリンセスと、残りのホープ・ジュエルをサガそう、オー!」
 とても素敵な笑顔だった。


(○リキュア、第2話ぐらい?・了)


本当に申し訳ないけど、実は。

 ・矢風医師……二又一成氏

それから

 ・村越承平……千葉一伸氏

 を、イメージさせていただいてました。
 いや、本当にごめんなさい!

「3」の薬剤名、本来は「トラムセット」ですが。

 トラムゼットン。

 強そうでしょ(笑)?


← 前の回  ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 452