ナイトが駆け出す。その時、ウィッカが戻ってきた。 ウィッカがステッキを振るう。 「猫にマタタビ、ニャンニャンニャーン! マタタビラクトン、ゴー!」 ステッキの先端から、光が放たれ、ゼツボーグ・アルノミーに向かう。ゼツボーグ・アルノミーも、それをよけようとしたらしいが、なぜか、動きを止めた。まるで、その光に興味を覚えたかのように。 そして、ゼツボーグ・アルノミーが、ピンク色の光に包まれる。次の瞬間。 『ゼツボォグ・アルノミィィィィィィィィィ〜』 語尾にハートマークでも付いていそうな、腑抜けた声でそう言うと、ゼツボーグ・アルノミーがへたり込んだ。 「やった!」と、ナイトが小さくガッツポーズを作る。 ダンサーがうなずいて、飛びかかる。次の瞬間! 『ゼツボォグ・アルノミィィィィィィィィィ〜』 右手ですばやくダンサーをつかむと、いきなり頬ずりを始めた。 「あたたたたたたたたた! 痛い痛い! 体、握りしめないで!」 ナイトが叫んだ。 「ダンサー!!」 そして駆け出し……。 『ゼツボォグ・アルノミィィィィィィィィィ〜』 左の手でナイトを素早くつかんで、口にくわえた。 「あががががががががが! 痛いって! ガジガジするなぁぁ!」 ゼツボーグ・アルノミーにガジガジとかみしめられ、ナイトが悲鳴を上げる。 「ダンサー! ナイト!」 叫んで、アーチャーがスリットにページを挿し込む。そして。 「○リキュア、ドリーム・シュートォォォ!」 必殺技を放つ。だが。 『ゼツボォグ・アルノミィィィィィィィィィ〜』 ゼツボーグ・アルノミーが、ダンサーとナイトを放り投げて、その矢をつかみ、じゃれ始めた。 クレリックは地に転がったダンサーとナイトに応急的な癒やしの光を送る。 「アーチャー、今のうちに、希望の星をサガして!」 アーチャーがうなずき、ホープ・ジュエルをかざす。 マタタビ作戦は、ある意味で失敗だったが、それでも希望の星をサガすだけの時間を稼ぐことは出来た。その隙に、クレリックはダンサーとナイトに駆け寄り、癒やしの光を送る。 ナイトが起き上がった。 「うう……。ありがとう、クレリック。甘噛みどころじゃなかったよ……」 ダンサーも起き上がる。 「ネコって、結構、力、強いんだな……」 アーチャーが驚きの声を上げた。 「希望の星が見えない!?」 「え!?」 クレリック、ナイト、ダンサーが驚きの声を上げる。ウィッカがすかさず、ホープ・ジュエルを掲げたが。 「……嘘……。希望の星がない……」 ナイトが立ち上がる。 「どういうこと!?」 ウィッカが言った。 「わからない! でも、あのゼツボーグの中には、希望の星がないの!」 希望の星がない? ということは、あのゼツボーグは誰かの絶望から生まれたものではない、ということか? それとも、もしかしたら……。 「アッハハハハハハ! これは傑作だわ! 正真正銘、もうどうにもならない絶望ッてことね!」 アイ・スクリームが哄笑する。 ダンサーが苦い顔で言った。 「これだったのか、さっき、感じたのは……!」 ナイトも、ホープ・ジュエルを掲げる。クレリックもホープ・ジュエルを捧げ持って、ゼツボーグ・アルノミーを見るが。 「……空虚。あのゼツボーグの中は、虚ろなんだわ……」 希望の星が全く、見えない。 その時。 『ゼツボォグ・アルノミィィィィィィィィィ〜』 ゼツボーグ・アルノミーがもてあそんでいた矢が、ナイトの方へ飛んできた。ナイトはホープ・ジュエルをのぞいている。 「危ない、ナイト!」 クレリックが飛び込んで、ナイトをかばった。二人とも、地に転がる。矢は、二人を通りすぎた先で、爆発した。
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