とある通りで暴れている今回のゼツボーグ・アルノミーは、すばしこい上に耳がいいらしく、なかなか隙を見いだせない。さらに、不意に姿を消したかと思うと、気配を感じさせずに背後に忍び寄っている。おまけに。 クレリックが言った。 「あの爪、かなりリーチがあるわ!」 ゼツボーグ・アルノミーが、右手の爪を伸ばし、空中からおそりかかっていた躍りかかっていたナイトを撃つ。 「うぐっ!」 姿勢制御がやっとで、斬りかかるまではいかず、ナイトは剣で爪を弾いて、着地する。 「あいつ、隙がない!」 ウィッカが考える。 「さっきまでのことを考えると、このゼツボーグ、多分、猫がモチーフになってるんだと思う」 アーチャーが聞いた。 「ネコ? あの猫ですか?」 ウィッカがうなずいた。 「うん。ファン・タ・シー・キングダムにもネコはいるんだけど、こっちのネコとはちょっと違ってて……。ああ、それは今は、いいわ」 そして、全高十五メートルのゼツボーグ・アルノミーを見上げる。ダンサーとナイトが、時間を稼ぐかのように応戦していた。 「耳が良くて、気配を消して忍び寄って、爪を武器にする。そして、すばしこい」 そうか、とアーチャーがうなずいて言った。 「だったら、魔法で『マタタビ』を出して、相手を昏倒出来ませんか?」 「やってみる! ……マタタビ、って何?」 アーチャーがちょっと困ったような顔をする。その時、 ナイトがやってきた。 「とりあえず、変身を解除して、検索して調べて!」 ナイトと入れ替わりに、アーチャーが攻撃に回る。 「わかった!」 ウィッカが物陰に行った。 「何をする気か知らないけど」 と、ある民家の屋根の上にいたアイ・スクリームが言った。 「このゼツボーグ・アルノミー、この前のとは、ちょっと違うわよ?」 ナイトが言った。 「違う? どういう意味!?」 アイ・スクリームが鼻で嗤うように言った。 「さあ? 私にも、なんとなくそう感じる、っていうだけだから、よくわからないわ」 ダンサーがこちらに飛ばされてくる。キックで蹴り負けたらしい。 「痛いの痛いの、Go Away!」 ダンサーのダメージを、クレリックのパワーが癒やす。 「ありがとう、クレリック! ……アイ・スクリームは、適当なことを言ってるわけじゃない、なんとなく私も感じるんだ、あのゼツボーグ、なんか感じが違う!」 ナイトが聞く。 「感じが違う? どういう意味?」 ダンサーが苦い顔で首を横に振る。 「わからない。でも、この間のヤツとは、どこか違う!」 アーチャーの矢がゼツボーグ・アルノミーを狙うも、ことごとくかわされる。
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