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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア! 作者:ジン 竜珠

第98回  
 矢風の医院は、学校から車で三十分ほどのところだ。途中、ココが目を覚ますことはなかったし、医院に運び込まれても、目を覚まさなかった。
 愛望は言った。
「脳に、重大な損傷があるんでしょうか?」
 矢風が答えた。
「うーん。うちにはCTもMRIもないからね、検査は出来ない。やっぱり、大きいところへ搬送した方が」
 その言葉に、愛望の胸に不安が沸き起こる。ついさっきまで戦っていた相手だというのに、今はその容態の心配をしている。自分でもおかしいと思うが、これが「医者」というものなのだろうか? だとしたら、自分は医者を志してもいい人間といえるのだろうか? そういえば、随分前に、母が言っていた。

「病気もケガも、人格を選んでいる訳じゃないの。同じように医者が相手にするのは、病気やケガであって、人格じゃない。医者は『裁く』んじゃない、『救う』のよ」

 その時、コードックが耳打ちした。
「ココは闇にとらわれている。意識が戻らないのは、そのせいだ」
「そうなの?」
「ああ、理由はわからないが、今、ココの中には闇が満ちている」
 ホープ・ジュエルで見た時にも、ココは闇で満ちていた。
 その時。
「あれ?」
 と、矢風が言った。
「どうかしましたか、先生?」
 愛望が聞くと。
「うん、ちょっと……」
 と、矢風は何かを考える。その時。
「……こ、こは……」
 ココが意識を取り戻した。
 安堵の空気が、診療室に満ちた。


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