様子から見て、頭を強打してはいないだろう、となったが、念のため、コードックが世話になっているという人物に来てもらった。その人物を見て、愛望が驚いた。 「矢風(やぶ)先生?」 正門のゲートの前で自動車から降りた、眼鏡をかけた痩せ気味の男性も、言った。 「あれ? 愛望ちゃん?」 祈璃が聞いた。 「知り合い?」 「うん。お母さんの知り合い」 やぶ、と呼ばれた男が答えた。 「愛望ちゃんのお母さんとは、昔、同じ大学病院で一緒に仕事してたんだ。僕は父親の病院を継がないとならなかったから、途中で辞めたんだけど。それからも、いろいろと勉強させてもらったよ、のぞみさんには。いいお医者様になったよね、のぞみさん」 そしてゲートを乗り越えて、入ってきた。 ココを見て。 「大丈夫だと思うけど、念のため、大きい病院に救急搬送した方がいいね」 夢華は愛望を見る。愛望がこちらを見て、うなずいた。 「矢風先生、先生のところで、見ていただけませんか?」 「え? でも……」 困惑する矢風に。 「お願いします!」 愛望が深々とお辞儀をした。それを見て、矢風が苦笑いを浮かべた。 「……わかった。訳ありなんだね? この格好といい、風貌といい、この国の人ではなさそうだし。わかった。僕のところに搬送しよう」 そして、コードックがココを抱えて、ゲートを飛び越え(矢風が仰天していた)、愛望が付き添うことになった。 残された一同に、夢華は言った。 「じゃあ、とりあえず、解散! 賢さんたちのことは気になるけど、きっと大丈夫!」 エミィがうなずく。 「そうね。私たちは、女王様に報告しないとならないことが一杯だし。王女様、帰りましょうか?」 「ええ」 祈璃は。 「私も、帰るかな」 友希もうなずいたが。 「そうだ、先輩。昨日、言ってましたよね、『ドリーム・エッグ』のセール。よかったら、これから連れて行ってくれませんか?」 「おー! いいよいいよー! 祈璃さんは?」 「そうだね。じゃあ、私も連れて行ってくれる?」 「じゃあ、これから『ドリーム・エッグ』へ、レッツ・ゴー!」
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