「○リキュア!」 声がして、賢たちが飛び込んできた。 「賢さん!? 危ない!!」 ナイトは制止の声を上げたが、賢はニヤリとして言った。 「ここは、先輩の威厳を見せないとね」 「え? どういうことですか?」 聖が言った。 「ここに来た瞬間、わかったんだ」 巫がうなずいた。 「とにかく、わたしたちに任せて」 そして聖が言った。 「ナイト、アーチャー、武器を借りるよ」 その言葉に、ナイトの剣、アーチャーの弓が光の粒子になり、聖の手に握られた。ナイトの赤い剣の刃を、アーチャーのオレンジ色の弓が真ん中から分かれて挟み込む。 「クレリック、ダンサー、あなたたちの得物を借ります」 その言葉に、クレリックの杖、ダンサーの鈴のついたアンクレットが光の粒子になり、巫の手に集まった。杖は青緑の杖に、アンクレットは黄色いたくさんの鈴になって、杖の先端に、錫杖の遊環(リング)のようについた。 「さて」と、賢が何か、呪文を唱え、右足で地面を踏みつけた。すると、地震が起こった。インディゴ・サファイヤが現れた時のような地震だ。直後、ナイトは、地面の底から、何かのエネルギー体が現れるのがわかった。そのエネルギー体は。 「バイオレット・アメジスト……」 最後のホープ・ジュエル、バイオレット・アメジストだった。地下から現れたバイオレット・アメジストを、賢が手に取る。 「ウィッカ、ステッキ、借りるわよ」 賢の声に応えるように、ウィッカのステッキが光の粒子になり賢の手に行く。その光は渦を巻き、鏡になった。その中心に、賢はバイオレット・アメジストをはめ込む。 「バイオレット・アメジストは、実は私と繋がってたんだ。だから、あなたたちでは、サガせなかったんじゃないかな?」 ナイトが聞いた。 「え? それはどういう……」 賢が微笑んだ。 「あとで話してあげる。……聖、巫、いくわよ」 「ああ、即席だけどな」 聖が微笑む。うなずいて、巫が杖で何度か地面をつついて鈴を鳴らした。その鈴から、澄んだエネルギーが波になって、辺りに広がるのがわかった。 その波は、ゼツボーグ・アルノミーの動きを封じ、さらに賢たちの周囲を包む。聖が剣を構え、賢が鏡を掲げる。そして、賢が宣言した。 「夢よ希望よ、花開け!」 聖と巫が、それぞれの剣と杖を、鏡の前で交差させる。三人が言った。 「○リキュア、クィンクエ・ペタルム!」 鏡から光が現れ、五枚の花弁を持った花のような、赤紫色の光になる。そしてその光は回転しながら発射され、ゼツボーグ・アルノミーと重なり、ゼツボーグ・アルノミーを光の粒子に還元する。 光が収まった時、そこにココがいたが。 彼女はそのまま、倒れ込み、動かなくなった。巫が駆け寄り、様子をうかがう。そして。 「大丈夫、息はあるわ。でも、意識が闇にとらわれてしまってるから……」 賢が沈痛な表情になる。 「そう。ここまで侵食が進んでいたなんて」 そして、賢がナイトたちを見る。 「約束だったわね。話すわ、昔々の話を」 ナイトたちは顔を見合わせ、うなずいた。
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