巨体になっても、その動きは速く、太刀筋は鋭い。ナイトたちは、攻撃をしのぐので精一杯だ。横目で見ると、キララが何かの呪文の詠唱をしているのがわかる。かなり複雑なものらしく、彼女の体から光の筋が出て何かを宙に描いては、消え、また現れては何かを描く、ということを繰り返していた。エミィが近くに来て言った。 「あれは、エネルギー分解の魔法。うまくいけば、ゼツボーグを構成しているエネルギーを分解出来ると思う。だから」 「うん! 時間を稼げばいいんだね!」 ナイトはスクエアミラーのスリットにページを挿す。 「○リキュア、ドリーム・スラッシュ!!」 ナイトの必殺技が炸裂した。だが、大して利いているようではない。 「○リキュア、ドリーム・チャントォォォ!!」 「○リキュア、ドリーム・クリアリング!!」 「○リキュア、ドリーム・シュートォォォ!!」 他の三人の必殺技も続けざまに放たれたが、やはり、ダメージにはなっていない。そのうち、ゼツボーグ・アルノミーがキララに気づいた。そして、その剣が振るわれた時! ナイト、ウィッカ、クレリック、アーチャーの四人が刃を防いだ。 「……ぐぅっ……!」 ナイトは歯を食いしばって、剣を押し返そうとしたが、まるで巨大で重たい何かがゆっくりと降りてくるような、圧力を感じた。 「押し返せない……」と呟いたのは、クレリックだったか? 「○リキュア、ドリーム・ビートォォ!!」 ダンサーの必殺技が放たれ、ほんの少し、刃を押し返す。そして。 『アトモス・ブレイク!!』 キララが魔法発動のキーワードを唱える。 光が渦となり、ゼツボーグ・アルノミーを吹き飛ばす。渦は奔流となり、ゼツボーグ・アルノミーを飲み込んだ。やがて。 巨体が消え、鎧とマントを破壊されたココが、片膝をついていた。 キララも、くずおれる。 「王女様!」 ウィッカがとっさに支えた。 肩で息をしながら、キララが笑顔でうなずく。 ココが大きく肩で息をしながら、立ち上がる。そして、吠えた。 すると、再び黒いガスがその身を包み、放電とともに、その姿をゼツボーグ・アルノミーに変えた。 「ウソ……!」 今、ナイトは何を見たのか? 確かにゼツボーグ・アルノミーを倒したのではなかったか? クレリックがホープ・ジュエルを掲げた。 「希望の星は、どこ? ……うそ、闇しか見えない……」 ナイトも、いや、皆が同じようにホープ・ジュエル越しにゼツボーグ・アルノミーを見る。 闇色一色だった。 戦慄とともに、ナイトは言った。 「どういうこと、闇しかないなんて……?」 ゼツボーグ・アルノミーが迫ってきた。その時だった。
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