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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア! 作者:ジン 竜珠

第91回  
 巨体になっても、その動きは速く、太刀筋は鋭い。ナイトたちは、攻撃をしのぐので精一杯だ。横目で見ると、キララが何かの呪文の詠唱をしているのがわかる。かなり複雑なものらしく、彼女の体から光の筋が出て何かを宙に描いては、消え、また現れては何かを描く、ということを繰り返していた。エミィが近くに来て言った。
「あれは、エネルギー分解の魔法。うまくいけば、ゼツボーグを構成しているエネルギーを分解出来ると思う。だから」
「うん! 時間を稼げばいいんだね!」
 ナイトはスクエアミラーのスリットにページを挿す。
「○リキュア、ドリーム・スラッシュ!!」
 ナイトの必殺技が炸裂した。だが、大して利いているようではない。
「○リキュア、ドリーム・チャントォォォ!!」
「○リキュア、ドリーム・クリアリング!!」
「○リキュア、ドリーム・シュートォォォ!!」
 他の三人の必殺技も続けざまに放たれたが、やはり、ダメージにはなっていない。そのうち、ゼツボーグ・アルノミーがキララに気づいた。そして、その剣が振るわれた時!
 ナイト、ウィッカ、クレリック、アーチャーの四人が刃を防いだ。
「……ぐぅっ……!」
 ナイトは歯を食いしばって、剣を押し返そうとしたが、まるで巨大で重たい何かがゆっくりと降りてくるような、圧力を感じた。
「押し返せない……」と呟いたのは、クレリックだったか?
「○リキュア、ドリーム・ビートォォ!!」
 ダンサーの必殺技が放たれ、ほんの少し、刃を押し返す。そして。
『アトモス・ブレイク!!』
 キララが魔法発動のキーワードを唱える。
 光が渦となり、ゼツボーグ・アルノミーを吹き飛ばす。渦は奔流となり、ゼツボーグ・アルノミーを飲み込んだ。やがて。
 巨体が消え、鎧とマントを破壊されたココが、片膝をついていた。
 キララも、くずおれる。
「王女様!」
 ウィッカがとっさに支えた。
 肩で息をしながら、キララが笑顔でうなずく。
 ココが大きく肩で息をしながら、立ち上がる。そして、吠えた。
 すると、再び黒いガスがその身を包み、放電とともに、その姿をゼツボーグ・アルノミーに変えた。
「ウソ……!」
 今、ナイトは何を見たのか? 確かにゼツボーグ・アルノミーを倒したのではなかったか?
 クレリックがホープ・ジュエルを掲げた。
「希望の星は、どこ? ……うそ、闇しか見えない……」
 ナイトも、いや、皆が同じようにホープ・ジュエル越しにゼツボーグ・アルノミーを見る。
 闇色一色だった。
 戦慄とともに、ナイトは言った。
「どういうこと、闇しかないなんて……?」
 ゼツボーグ・アルノミーが迫ってきた。その時だった。


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