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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア! 作者:ジン 竜珠

第9回  
 日曜日、午前十時。
 四人は駅前にいた。
 愛望が言った。
「いい? とにかく、夢ちゃんの気持ちが大切よ? でも、気に入らないからといって、相手をわざと傷つけてやろう、って考えちゃダメ。それに、どんなに言葉を選んでも、相手にとって、ショックなことはショックなんだから」
 エミィが言った。
「私は、その人のこと、知らないけど、夢華のことを選んだってことは、きっといい人なんだと思う」
 友希が言った。
「私にはそういうことはわかりませんが、もし相手が豹変したら、言ってください。いつでも撃ちます!」
 エミィと愛望が微妙な表情で友希を見る。
 夢華は言った。
「ありがとう、みんな。正直、こういうのって初めてだから、どうしていいかわからないけど。……うん! 頑張るね!」
 愛望がぼそっと「頑張ることじゃないんだけど」と呟いたが。
 三人は笑顔でうなずいた。
 その時!
 エミィのバッグから、ウッキューが出てきた。
「うわ! ウッキュー、出てきちゃダメ!」
「うっきゅー!」
 ウッキューの持った球から、涙滴が現れた。
 愛望が息を呑む。
「誰かが泣いてる……!」
 ゼツボーグが現れたのだ!
 夢華は言った。
「みんな、行こ……!」
「夢華はダメ!」
 エミィが言った。愛望もうなずく。
「夢ちゃんには、今するべき事があるでしょ?」
 友希もうなずいた。
「私たちに任せてください」
「みんな……」
 三人がうなずく。
「……うん! お願い! 私もすぐに駆けつけるから!」
 そして、三人が駆けて行った。
 ちょっとして。
「あの」
 と、夢華に声をかけてきたものがあった。振り返ると。
「こんにちは。僕が江藤昌晴(えとう まさはる)です」
 穏やかそうな男子だ。
「ああ、あなたが」
「うん。ごめんね、来てもらっちゃって。早速なんだけど、来て欲しいところがあるんだ」
「来て欲しいところ?」
「映画を見に行こう」とか「カラオケに行こう」とかいう言葉を想像していたから、ちょっと肩透かしだが。
「うん。喫茶店なんだけど。……そこ、僕の家なんだ……」
「……家?」
 昌晴がうなずいた。


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