学校に着いたが。 愛望がしみじみと言った。 「正門のゲート、閉まってるわね。まあ、お休みだから、当たり前と言えば、当たり前だけど」 友希がゲートを見る。 「よじ登りましょうか?」 エミィがスカートの裾を押さえる。 「私、スカート……」 愛望も言った。 「私も、スカート穿いてきてしまったわ」 夢華も言った。 「私も。……でも! これがある!」 そして、スクエアミラーと、叙事詩の、あるページを開く。 「『翼のサンダル』! これを使えば!」 スリットに挿し込むと、夢華の足に翼の生えたサンダルが出現した。そして、軽く跳躍し、軽々とゲートを飛び越えた。 「じゃあ、次、エミィ!」 と、ページを外し、ゲートの隙間から、エミィに渡す。 「じゃあ、キララ様は私と一緒に」 エミィはキララを抱きかかえて、ゲートを越える。 こうしてページをリレーし、六人は敷地内に入った。 「よーし! それじゃあ、バイオレット・アメジストをサガそう、オー!」 夢華が右の拳を天に向けて突き上げた。
遺跡にて。 巫は周囲に残る情報を降ろす。しかし。 「こちらの時間で、八百年あまり。さすがに、情報は希薄になっているわ。例の環状列石や磐座といった『かたち』を再現するので、精一杯。細かな情報までは読めない」 賢が言った。 「そうか。……読み違えちゃったかな?」 聖が言う。 「こことファン・タ・シー・キングダムが繋がってる。とすると、あの時の……あたしたちが○リキュアになった時の情報が、ここにも残存してるかも、だったよな?」 「ええ。……あの子たちだけに、負担を強いる訳にはいかないわ」 「賢の言うこともわかる。でもさ、そもそもあたしたちが○リキュアになった時のことなんて、誰も覚えてないだろ? ていうか、気がついたら、○リキュアとして、ファン・タ・シー・キングダムの王宮にいたし」 聖の言葉に、巫がうなずいて言う。 「わたしは、かすかに覚えてる。でも、それは何かの光に包まれて、使命感を抱いたっていうこと。その前はわからないわ」 うなずき、賢は言った。 「私たちが、どこの誰だったのか、誰にも……私たち自身にもわからなかったものね。ファン・タ・シー・キングダムの住人じゃなく、異国人だったっていうのは、間違いない。……まあ、そんなことはもういいわ。それじゃあ、マップの欠片サガしを優先しましょう」 「それなら、もうつかんだわ」 賢と聖は顔を見合わせた。そして賢は言った。 「……もう、つかんだの?」 「ええ。やはり、ここを経由して町の中に散らばったみたい。来て、すぐにわかったわ」 そして、地に何かを書く。それは。 「……魔法陣……いや、これは……?」 賢は言った。 「こっちに来て、本を見てて似たようなものを見たわ。東洋の呪術の、マンダラという神秘図形」 そこまで言った時、地に書いたマンダラから光の筋が伸び、町の方へ走る。 「マーキングしたから、すぐに見つかるわ」 それを見て賢は。 「行くわよ!」 歩き出した。
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