エミィは、紙を使って使い魔を作り、賢に連絡をした。インディゴ・サファイヤのこと、王女のこと、ココが直接乗り込んできたこと、コードックの裏切り……。 正直、文字だけで伝えられるものではない。 とにかく、これを伝え、賢たちがどう判断するか。 「きっとすべてを話してくれるよね」 そう呟いた時。 『エミィちゃん、朝ご飯よ』 今朝の食事当番、るり子の声が聞こえてきた。 「はーい! ……王女様、朝餉(あさげ)の時間です」 「……んん、はぁい……」 そう言って、起き上がったキララだったが。 「王女様、座ったまま眠りに落ちないでくださいませ」 「……んあ?」 そう言ってベッドから降りたキララだったが。 「……王女様、立ったまま眠りに落ちないでくださいませ」 「……んあ?」 「…………王女様、浮遊魔法で移動するのは、おやめくださいませ。ていうか、起きてください」 「……んあ?」 そのままキララはドアにぶつかった。
午前十時。 賢たちはやってきたのだが。 港で賢は言った。 「マップの欠片、私たちはそれを探す。あなたたちの話を聞いて、確信した。壊れたマップの欠片はここにある」 それを聞き、夢華は聞いた。 「え? でもインディゴ・サファイヤはもう見つかったし、多分、バイオレット・アメジストだって……」 賢がうなずいた。 「うん、多分、ていうか、間違いなく夢の木中学校のどこかにあるでしょうね」 愛望が言う。 「王女様も見つかったし、もう地図は必要ないのでは?」 賢が聖と巫を見る。二人がうなずいた。 「今朝、エミィちゃんから使い魔の手紙をもらったんだ。いろいろと考えたんだけど。マップを完成させたら、君たちにすべてを話すわ」 エミィが怪訝な表情になる。 「あのマップに、何か……別の意味があるのですか?」 少し置いて。 賢が言った。 「ええ。あのマップには、もう一つ、別の意味、ていうか『力』があるの。私たちはそれを手にしなければならない」 そして「遺跡でヒントを探す」と、その場を去った。 夢華たちは。 「じゃ、私たちは、ユメ中(ちゅう)に行こうよ!」 祈璃が聞いた。 「もしかして、ホープ・ジュエルを探すの?」 「うん!」 と、夢華は満面の笑顔で答える。友希が困ったような顔になる。 「私たちだけで? せめて、賢さんたちが一緒の時の方がいいのでは?」 キララも言った。 「もしまた、ココが来たら?」 「だからですよ!」 と、夢華は言った。 五人がその勢いに、ギョッとなる。 「あいつらが動く前に、私たちが押さえないと! 幸い、私たちはもう、場所を知ってるんです! だったら先に、残るホープ・ジュエル、バイオレット・アメジストを、私たちが手に入れるんです!」 友希が言った。 「その状態で、私たちが負けたら、七つ全部が敵の手に落ちるのでは?」 「あーもー、友ちゃんてば! そもそも私たちの目的は、なんだった!?」 ちょっと考える素振りをして、友希は答えた。 「カーナ・シー・エンパイアが、人間界を闇色に染めて、人々の夢を奪う。ホープ・ジュエルが、カーナ・シー・エンパイアの手に渡らぬよう、護る。ホープ・ジュエルは、ファン・タ・シー・キングダムの至宝であり、神秘の力があるから、それを悪用されないようにする。……だから、○リキュアになった私たちは、カーナ・シー・エンパイアの野望をくじいて、ホープ・ジュエルを……みんなの夢を護る」 「よろしい!」 と、夢華はニカッとして、友希に言った。 「じゃあ、改めて、友ちゃんに聞きます。今、私たちがやるべきことは、何でしょう?」 ちょっとおいて。 祈璃が苦笑いを浮かべて、言った。 「私たち、昨日の一件で臆病になっちゃってたみたいだね」 そして、一同を見る。 「行こう! 昨日とは違う! 私たちは負けない! 私たちは」 と、夢華を見た。 夢華は力強くうなずいて言った。 「○リキュアだから!!」
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