次の瞬間、ココが斬りかかってくる。それを剣でいなし、コードックが逆に斬りかかる。その剣を左の剣で受け、右の剣で攻勢に出たココだが、その剣を天才的とも思えるタイミングで交わすと、コードックは身を沈め、地を這うように間合いをとった。 そのまま離れるかと思いきや、ステップを踏み、身を沈めたままココに迫る。そしてコードックはココの足を、剣で払う。ジャンプしてそれをかわすと、ココは宙で身をひねり、右手の剣を振り下ろす。身をひねって、それを受けたコードックだったが、ココが左の剣を突き込んでくるのを完全には、防げなかった。 うめき、間合いをとって右肩を押さえるコードックに、思わずクレリックは癒やしの光を送った。 「……お前……」 「キサマッ!」 コードックとココが、ともに驚くが、その表情は対照的だ。 だが、まずは目の前の敵を、と思ったのだろう、ココが剣を振るう。左の剣でコードックを左へ移動させ、移動した先へ剣を振るう。それを予想していたコードックは剣で剣を受け、刃を滑らせて、バックステップを踏む。ステップの勢いで、自身の右手に横飛びに飛ぶと、地を転がる。コードックの胴があった辺りを、ココの右の剣が走って行った。そのまま転がり、その勢いを利用して起き上がったコードックは、さらにステップで横に飛び、ココに足払いをかける。とっさのことで、ココはジャンプしてそれをかわす。すかさず、コードックはステップで間合いを詰め、着地してくるココに剣を突き出した。 右の剣でそれを受け止めたココだったが。 「それ」を狙っていたのか、それとも偶然だったのか、剣は、コードックの剣を押し下げるしか出来なかった。故に。 ココが着地した時、コードックの体勢は低くなっていた。それをバネにして、コードックは気合いとともに、一気に剣を振り上げる。着地直後で体勢が整っていなかったココは、跳ね飛ばされるように、無防備にのけぞる。そしてそのまま。 「でやあああああああああ!」 裂帛の気合いとともに、振り上げた剣を、コードックは振り下ろした! 「……くあっ……!」 コードックの剣はココの胸の装甲を切り裂き、そのまま腹部へと、切っ先をめり込ませた。 気合いとも絶叫ともつかない声を発し、ココは離れる。剣の柄を持った左手を、切っ先が刺さっていた腹部に当て、苦鳴とともに言った。 「……所詮は、よそ者。……信ずるに値せぬ……」 そう言い残し、ココは姿を消した。
剣を収めたコードックに、クレリックが言った。 「コードック。……ありがとう」 複雑な思いだが、それ以上に、胸には暖かいものがあった。 コードックはチラ、とクレリックを一瞥し。 「……お前がヒトリーじゃないことは、わかっているはずなんだが……」 そして、姿を消した。 なんとも言えない気持ちが、クレリックの胸に去来していた。
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