休憩を取って再び、山を下りる。もう、夕空になっていた。 広場を出ようとした時だった。 なんとも例えようのない、プレッシャーが空からとも、地下からともいえない、しいて言うなら、周囲の空間すべてから押し寄せてきたかと思うと。 雷(いかづち)が空間を走り、地でスパークした。その衝撃で、一同は吹き飛ばされる。 どうにか起き上がり、夢華は衝撃の爆心地を見る。土煙が収まった時、そこにいたのは、黒い鎧に、緋色のマントを羽織った一人の若い女。長く伸ばした銀色の髪が印象的だ。 「ふうん。ファン・タ・シー・キングダムの王女様も、ここに来てたのね」 冷たい声がした。キララが驚いたように言った。 「ココ・ロォレター!? 近衛隊長であるあなたが、なぜ!?」 「あの三人には任せておけない、そういうことよ」 エミィが聞いた。 「王女様、あのものは?」 「去年、次元間国交正常化のために、私、特使としてカーナ・シー・エンパイアへ行ったの。覚えてるわよね? その時に、会ったの。カーナ・シー・エンパイアの近衛隊長、ココ・ロォレター。皇帝の近習(きんじゅう)であるあなたが、出てくるなんて……!」 そして、胸のホープ・ジュエルを護るかのように、右手で握り込む。 「ホープ・ジュエル、もらい受ける」 そう言うと、ココが、右手で左腰に、左手で右腰に、それぞれ差した剣を抜く。 その剣を構えるのと同時に、ココが言った。 「情けをくれてやる。おとなしくホープ・ジュエルを渡すならば、手荒なまねは、しない。私にも剣士としての矜持がある。約束は守る」 夢華は立ち上がり、スクエアミラーを構える。 「これが返事よ!」 そして変身した。ココがニヤリとした。 「嫌いじゃないわ、その返事」
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