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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア! 作者:ジン 竜珠

第78回  
 そして、頂上。
「ぐあぁぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁ……。もうダメぇ〜。電池切れたぁ〜」
 すっかりへばった夢華が、へたり込んだ。
 エミィたちも、疲労している。三十分以上は上っただろうか? 途中、休憩所や自動販売機があったのが、救いだった。
「こんな、いい景色だったんだね……」
 祈璃が深呼吸して、周囲を見る。エミィも、言った。
「この町に来て、何ヶ月か経つけど。もっと早く来れば良かった」
 心から、そう思った。
 愛望も笑顔になる。
「小学校の頃は、よく遠足で来てたな」
 友希もうなずいた。
「いつの間にか、来なくなってましたね」
 一同はしばし、頂上からの絶景に、心遊ばせる。
「ウッキュゥゥゥゥゥゥ!!」
 ウッキューがひときわ大きい声を上げて、ある一角に行った。そこは、その広場のほぼ中央。何か、地面から突き出している。
 夢華が近づいた。
「なに、これ?」
 一見すると、直径三センチ、高さ五センチほどの、透明な突起。色は、見る角度によって変わっていく。
 夢華がそれに触れた瞬間!
「……これ……は……!」
 エミィは、いや、みな息を呑んだ。
 感じるのだ、彼女たちの中にあるホープ・ジュエルが響き合うのを!
 夢華が一同を見渡す。エミィも、他の三人もうなずいた。夢華が突起をつまみ、周りを軽く掘って、引き上げる。引き上げた「それ」は、地面の下にあったのも、突起、つまり紡錘形だった。そして、引き上げた瞬間、「それ」が光を放った。
 藍色の光を放つ紡錘形の「それ」は、みるみる球形になり、そして。
 エミィは驚愕の思いで言った。
「ホ……ホープ・ジュエル……!」
 夢華たちにもわかった。間違いなく、これはホープ・ジュエルだ。
 愛望が、驚きを隠せない風に言った。
「こんなところに、あったなんて……!」
 友希が言う。
「これが、パラディンのエンブレムの意味、だったんでしょうか……!?」
 祈璃がうなずく。
「だね。とすると、残り一つのホープ・ジュエルは……!」
 皆の視線が、自然と夢の木中学校の方に向く。
 その時。
「うきゅ……」
 ウッキューが夢華の掌の上にあるホープ・ジュエルに触れる。
 その瞬間!
 ウッキューが光に包まれ、さらにその光が渦を巻く。何が起きたか、わからない。
 一同が困惑する中、しばらくして、光が収まる。光が収まった中、そこにいたのは。
「……元に戻れたわ……」
 一人の少女がそこに立っていた。それを見て。
「……王女? まさか、キララ王女!?」
 心底驚いて、そういうのが、やっとだった。
 少女がエミィを見て、にっこりとする。
「久しぶりね、エミィ」
「王女!」
 駆け寄り、王女に抱きついて泣き出したエミィを、夢華たちはきっと奇異な目で見ているに違いない。
 そうは思うが、涙があふれるのを、エミィは止めることが出来なかった。


(ファンタシーサガ ○リキュア・しょの10 了)


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