そして、頂上。 「ぐあぁぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁ……。もうダメぇ〜。電池切れたぁ〜」 すっかりへばった夢華が、へたり込んだ。 エミィたちも、疲労している。三十分以上は上っただろうか? 途中、休憩所や自動販売機があったのが、救いだった。 「こんな、いい景色だったんだね……」 祈璃が深呼吸して、周囲を見る。エミィも、言った。 「この町に来て、何ヶ月か経つけど。もっと早く来れば良かった」 心から、そう思った。 愛望も笑顔になる。 「小学校の頃は、よく遠足で来てたな」 友希もうなずいた。 「いつの間にか、来なくなってましたね」 一同はしばし、頂上からの絶景に、心遊ばせる。 「ウッキュゥゥゥゥゥゥ!!」 ウッキューがひときわ大きい声を上げて、ある一角に行った。そこは、その広場のほぼ中央。何か、地面から突き出している。 夢華が近づいた。 「なに、これ?」 一見すると、直径三センチ、高さ五センチほどの、透明な突起。色は、見る角度によって変わっていく。 夢華がそれに触れた瞬間! 「……これ……は……!」 エミィは、いや、みな息を呑んだ。 感じるのだ、彼女たちの中にあるホープ・ジュエルが響き合うのを! 夢華が一同を見渡す。エミィも、他の三人もうなずいた。夢華が突起をつまみ、周りを軽く掘って、引き上げる。引き上げた「それ」は、地面の下にあったのも、突起、つまり紡錘形だった。そして、引き上げた瞬間、「それ」が光を放った。 藍色の光を放つ紡錘形の「それ」は、みるみる球形になり、そして。 エミィは驚愕の思いで言った。 「ホ……ホープ・ジュエル……!」 夢華たちにもわかった。間違いなく、これはホープ・ジュエルだ。 愛望が、驚きを隠せない風に言った。 「こんなところに、あったなんて……!」 友希が言う。 「これが、パラディンのエンブレムの意味、だったんでしょうか……!?」 祈璃がうなずく。 「だね。とすると、残り一つのホープ・ジュエルは……!」 皆の視線が、自然と夢の木中学校の方に向く。 その時。 「うきゅ……」 ウッキューが夢華の掌の上にあるホープ・ジュエルに触れる。 その瞬間! ウッキューが光に包まれ、さらにその光が渦を巻く。何が起きたか、わからない。 一同が困惑する中、しばらくして、光が収まる。光が収まった中、そこにいたのは。 「……元に戻れたわ……」 一人の少女がそこに立っていた。それを見て。 「……王女? まさか、キララ王女!?」 心底驚いて、そういうのが、やっとだった。 少女がエミィを見て、にっこりとする。 「久しぶりね、エミィ」 「王女!」 駆け寄り、王女に抱きついて泣き出したエミィを、夢華たちはきっと奇異な目で見ているに違いない。 そうは思うが、涙があふれるのを、エミィは止めることが出来なかった。
(ファンタシーサガ ○リキュア・しょの10 了)
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