ハミルこと、高田・ハミルトン・美香・リサが、笑顔を浮かべて、歩いて行った。この人物は、祈璃の友達で、祈璃の歌の演奏をしてくれることも多いという。彼女が何に気づいて希望を取り戻したかは、わからない。だが、祈璃はそれを笑顔で見送っている。エミィも、それでいいと思っている。 個人の事情まで詮索することはないのだ。自分たちがするのは、夢と希望を取り戻すことなのだから。 ここは市の西部、夢野高山(ゆめのたかやま)の麓だ。 夢華が言った。 「さ、帰ろ! そろそろ、三時のおやつの時間だし!」 祈璃が呆れたように言った。 「夢華はそればっかりだな」 「いいじゃない」と、愛望が笑顔で言った。 「私も、何か、甘いものが欲しいな。夢ちゃん、何かオススメのスイーツがある?」 うなずいて、夢華が言った。 「今日はね、『ドリーム・エッグ』のスイーツが、全品、お安くなってるんだ!」 祈璃がちょっと考える素振りを見せる。 「『ドリーム・エッグ』っていうと、この前、なんかのコンテストで優勝したパティシエがいるお店だよね?」 「うん! そのパティシエが、今度は、外国のコンクールで入賞したんです! お祝いで、今日、土曜日からセールがあるんですよ、来週の日曜日まで! だから、行きましょ!」 そのやりとりを見ていたエミィだったが。 「うっきゅー! うっきゅ、うっきゅ!」 「どうしたの、ウッキュー?」 ウッキューが騒ぐ。 「ねえ、エミィ、この間から、ウッキュー、なんか変だよね?」 夢華の問いに。 「うん。何日か前に地震があったでしょ? 次の日ぐらいから、なんか変なの。ねえ、本当に、どうしたの?」 「うっきゅうー!」 ウッキューは羽根をばたつかせ、エミィたちを引っ張っていこうとする。どこへ行きたいのだろう、とその方を見る。 「……山、よね?」 エミィは登山道を見る。友希が言った。 「行ってみませんか? 重要な『何か』があるのかも」 祈璃も言う。 「……そうだね。確か、○ュアパラディンのエンブレムがあったのは、この山だった」 ちょっとして、夢華が言った。 「じゃあ、行こう! ウッキューが私たちを連れて行きたいところに、何があるのか、サガそう、オー!」 一同は登山道を上る。
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