『ゼツボォォォォォォォォォグ・アルノミィィィィィィィィィ!』 ゼツボーグ・アルノミーの咆哮が轟く。ダンサーが叫んだ。 「ハミルさん! 夢を棄てないで!!」 今度のゼツボーグ・アルノミーは、ダンサーこと鳳祈璃の知り合いの絶望が元になっているらしい。祈璃がその人物と別れた直後、同じエリアでゼツボーグ・アルノミーが出現したのだ。 「あなたのことを見ている人が、きっといるから! 私もあなたのバイオリンの音(ね)、大好きよ!」 だが、かまわずゼツボーグ・アルノミーは攻撃を仕掛ける。右腕の肘から先がヴァイオリンのボウ、左腕はヴァイオリンになっていた。ゼツボーグ・アルノミーが、ボウでヴァイオリンを弾く。そこから、音波エネルギーが球状に放射される。さっきは破壊エネルギーだったが、今度は全身にしびれをもたらすものだ。 「くぅぅぅぅぅ!!」 うめき声を上げて、ダンサーは、くずおれる。 「しびれよしびれ、Go Away!」 クレリックの癒やしの呪文で、しびれが消える。さっきからのダメージも、その都度、クレリックの力で回復出来た。 だが、クレリックも、限界が近い。彼女もダメージを受けながら、回復の力を行使しているのだ。その負担はどれほどのものか。 せめて、ゼツボーグ・アルノミーの攻撃に指向性があれば、死角から攻撃が出来るのだが、音波エネルギーは球状に放射される。全方位だった。 ふと。 「……そうか、そうすれば」 ダンサーはあることを閃き、呟いた。それを聞いていたクレリックが近づく。 「何か、手があるの!?」 「ええ!」と、ダンサーはうなずく。それを見た三人もやってきた。ダンサーは自分が気づいたことを話す。 「一時的にしか、隙が作れないと思うけど!」 そのダンサーの言葉に、ナイトたちがうなずき合う。ナイトが言った。 「それで行こう!」 ナイトたちがスタンバイする。ゼツボーグ・アルノミーが弦を弾く。音波エネルギーが放射された刹那。 「○リキュア、ドリーム・ビートォォォォ!」 ダンサーの放ったドリーム・ビートによって、ごく狭い範囲の音波エネルギーが相殺される。そこに出来た「道」を通って、ナイトたちがゼツボーグ・アルノミーの左腕に迫る。そして、弦を締めているツマミ……それぞれのペグを一斉に緩める。 ナイトたちに気づいたゼツボーグ・アルノミーが、ボウで弦を弾こうとしたが、弦は緩んでしまって、音が出ない。 その隙を突いて。 「○リキュア、ドリーム・スラッシュ!!」 「○リキュア、ドリーム・チャントォォォ!!」 「○リキュア、ドリーム・クリアリング!!」 「○リキュア、ドリーム・シュートォォォ!!」 それぞれの必殺技が、四本の弦を破砕する。 ダンサーがホープ・ジュエルを掲げ、希望の星がボウにあることを見つけた。 「夢よ、よみがえれ!!」 ナイトが宣言した。
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