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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア! 作者:ジン 竜珠

第76回  
『ゼツボォォォォォォォォォグ・アルノミィィィィィィィィィ!』
 ゼツボーグ・アルノミーの咆哮が轟く。ダンサーが叫んだ。
「ハミルさん! 夢を棄てないで!!」
 今度のゼツボーグ・アルノミーは、ダンサーこと鳳祈璃の知り合いの絶望が元になっているらしい。祈璃がその人物と別れた直後、同じエリアでゼツボーグ・アルノミーが出現したのだ。
「あなたのことを見ている人が、きっといるから! 私もあなたのバイオリンの音(ね)、大好きよ!」
 だが、かまわずゼツボーグ・アルノミーは攻撃を仕掛ける。右腕の肘から先がヴァイオリンのボウ、左腕はヴァイオリンになっていた。ゼツボーグ・アルノミーが、ボウでヴァイオリンを弾く。そこから、音波エネルギーが球状に放射される。さっきは破壊エネルギーだったが、今度は全身にしびれをもたらすものだ。
「くぅぅぅぅぅ!!」
 うめき声を上げて、ダンサーは、くずおれる。
「しびれよしびれ、Go Away!」
 クレリックの癒やしの呪文で、しびれが消える。さっきからのダメージも、その都度、クレリックの力で回復出来た。
 だが、クレリックも、限界が近い。彼女もダメージを受けながら、回復の力を行使しているのだ。その負担はどれほどのものか。
 せめて、ゼツボーグ・アルノミーの攻撃に指向性があれば、死角から攻撃が出来るのだが、音波エネルギーは球状に放射される。全方位だった。
 ふと。
「……そうか、そうすれば」
 ダンサーはあることを閃き、呟いた。それを聞いていたクレリックが近づく。
「何か、手があるの!?」
「ええ!」と、ダンサーはうなずく。それを見た三人もやってきた。ダンサーは自分が気づいたことを話す。
「一時的にしか、隙が作れないと思うけど!」
 そのダンサーの言葉に、ナイトたちがうなずき合う。ナイトが言った。
「それで行こう!」
 ナイトたちがスタンバイする。ゼツボーグ・アルノミーが弦を弾く。音波エネルギーが放射された刹那。
「○リキュア、ドリーム・ビートォォォォ!」
 ダンサーの放ったドリーム・ビートによって、ごく狭い範囲の音波エネルギーが相殺される。そこに出来た「道」を通って、ナイトたちがゼツボーグ・アルノミーの左腕に迫る。そして、弦を締めているツマミ……それぞれのペグを一斉に緩める。
 ナイトたちに気づいたゼツボーグ・アルノミーが、ボウで弦を弾こうとしたが、弦は緩んでしまって、音が出ない。
 その隙を突いて。
「○リキュア、ドリーム・スラッシュ!!」
「○リキュア、ドリーム・チャントォォォ!!」
「○リキュア、ドリーム・クリアリング!!」
「○リキュア、ドリーム・シュートォォォ!!」
 それぞれの必殺技が、四本の弦を破砕する。
 ダンサーがホープ・ジュエルを掲げ、希望の星がボウにあることを見つけた。
「夢よ、よみがえれ!!」
 ナイトが宣言した。


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