「……壊れてるわ……」 今の衝撃で、破壊されてしまったのだろう、欠片が宙を舞っている。。 『そう……。でも、不完全でも、ないよりはマシだわ。誰か、信頼出来る者にマップを持たせて、人間界に派遣し、ホープ・ジュエルをサガさせなさい』 「……はい。わかりました」 『王女の行方だけど。もしかしたら、人間界にいるかも知れません』 「え!?」 『ホープ・ジュエルが人間界へ行った、ということは、人間界への道が開いた、ということ。転送魔法が無作為に発動した時には、その力は開いている通路に流れるものだから』 なるほど。ということは、王女が人間界にいることは、ほぼ確実だ。 『私も、人間界へ行きます』 「……どうして? ここを護っては、くださらないのですか? 私たちには、あなたの力が必要なのです!」 懇願してみる。○リキュアは言った。 『カーナ・シー・エンパイアの者の狙いはホープ・ジュエルです。必然、彼らの次のターゲットは人間界。私は、ホープ・ジュエルを護らねばなりません』 「……そうか。そうですね。ホープ・ジュエルは、ファン・タ・シー・キングダムの至宝なのだから」 ○リキュアはうなずいて言った。 『ホープ・ジュエルが一つに合わさることは、なんとしても防がないと!』 「……え?」 今、○リキュアはなんと言ったのか? 『今、なんて?』 聞いてみたが、今の質問は耳に入っていなかったらしい、それに答えることなく、○リキュアは言った。 『どこへ行くべきかは、地図が導いてくれるはずです』 そして、手の中のホープ・ジュエルを見ながら、また同じことを言った。 『ホープ・ジュエルを一つにしてはいけない、絶対に……』 おそらく、とても大事なことなのだろう。そして、光に包まれたかと思うと、その姿が見えなくなった。 彼女の言葉の真意を考える。 言い伝えでは「ホープ・ジュエル七つの力を合わせると、失われた何かを復活させることが出来る」とあった。一つになったホープ・ジュエルの力が、悪用されてはならない、という意味だろうか? あるいは。 ひょっとしたら、その伝説自体、間違いだったのか? そう思っていると。 「女王様ー!!」 少女の声がした。 その声の主は、エミィという少女だ。キララとは、魔法学校で仲がいい。その腕前は、キララ曰く「普通」だそうだが、コンスタントに魔法の力を維持出来る集中力は、魔法学校始まって以来の天才、と言われているそうだ。 「女王様、ご無事でしたか!?」 「ええ。あなたも無事だったのね?」 「はい! どういうわけか、カーナ・シー・エンパイアの軍勢が、一斉に撤退を始めたのです。なので、私、女王様が心配で……」 「そう。ありがとう、エミィ。……そうだ、あなたを信頼して、お願いしたいことがあるの」 と、クリスタル盤を見上げる。つられて、エミィも見たようだ、すぐに、驚愕の声がした。 「ホープ・ジュエルが……!」 「今の混乱で、人間界へと、散らばってしまったの。それに、キララも……」 「王女様も? ……王女様も、人間界へと行ってしまわれたのですか?」 マーブ・シーはうなずく。そして言った。 「エミィ、あなたにお願いしたいことがあります。人間界へ行き、王女、散らばった七つのホープ・ジュエル、そして伝説の戦士・○リキュアをサガしなさい」
エミィは、よくやってくれている。まさか、彼女自身が○リキュアになるとは思いも寄らなかったが、伝説の○リキュアにも会えたようだ。あとは。 「……キララ、どこにいるの……?」 胸を押さえる。 痛みは消えない。
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