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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア! 作者:ジン 竜珠

第74回  
 光、雷電、爆風。
 お互いの魔法が干渉し合い、対消滅を起こしたのだ。おそらくオサキ・マックラーは、強制退去をキャンセルするか、あるいは自身の転送波を強化する呪文を唱えたのだろう。それが純粋なエネルギーのぶつかり合いとなって、スパークしたのだ。

 痛む体に鞭を打って、マーブ・シーは起き上がる。オサキ・マックラーの気配は消えていた。辺りを探るが、やはり、気配はない。まずはそのことに、ホッとして改めて辺りを見ると。
 先の侍従が、うつ伏せに倒れている。指がかすかに動いたから、生きているようだ。安堵の息を漏らす。
「たいへんでしたね、キララ」
 愛しい娘の名を呼ぶ。だが、返事はない。
「キララ?」
 辺りを見回す。姿が見えない。
「キララ、キララ!?」
 立ち上がり、名を呼びながら、姿をサガすが、見当たらない。
 まさか、今の魔法嵐(マジック・ストーム)に巻き込まれて……!
 最悪の予感に、気が狂いそうになった時。
 何か、涼やかな気配がした。振り返ると。
 クリスタル盤の前に浮くようにして、一人の少女の姿がある。ファン・タ・シー・キングダムの王家でも、一般のものでもない、不思議な装束の少女は、静かに言った。
『大丈夫、王女は生きているわ』
「……え?」
 少女は微笑んでうなずく。
『ここの防御魔法が彼女を護ったの。ただ、今の魔法嵐で力場が乱れたから、どこかに転送されてしまったかも知れない。そして、それがどこかは、わからない』
 不思議と説得力のある言葉だった。
「あなたは、誰?」
 問うと、少女は答えた。
『私は○リキュア』
「……え? まさか、かつてファン・タ・シー・キングダムを護ったという、伝説の戦士……?」
 少女がうなずく。
 一体、どういうことなのだろう? ファン・タ・シー・キングダムの危機を察知して、復活したというのだろうか? なら、もっと早く来てくれたら良かったのに。
 そんなことを思い、何気なく、クリスタル盤を見る。
「……! ホープ・ジュエルが……!」
 はめこまれていたホープ・ジュエルが、すべて消えていたのだ! もしかすると、今の魔法嵐のせいだろうか?
「あああ、なんてこと……」
 全身から力が抜け、へたり込む。マーブ・シーに○リキュアが言った。
『七つの内、バイオレット・アメジストは、私の手にあります』
 と、○リキュアが手に持った紫色の光を見せる。
『インディゴ・サファイアも、私の仲間、○ュアパラディンが、手にしたはず』
 ということは、二つは無事、ということだ。
「では、あとの五つは?」
『もう一人の○リキュア……シャーマンが追いましたが、見失ったようです。どうやら、人間界に紛れたようです』
「……人間界に?」
 ○リキュアがうなずく。
『人間界のマップはありますか?』
「え、ええ……」
 マーブ・シーは魔法で、人間界の地図を呼び出す。だが、それは。


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