光、雷電、爆風。 お互いの魔法が干渉し合い、対消滅を起こしたのだ。おそらくオサキ・マックラーは、強制退去をキャンセルするか、あるいは自身の転送波を強化する呪文を唱えたのだろう。それが純粋なエネルギーのぶつかり合いとなって、スパークしたのだ。
痛む体に鞭を打って、マーブ・シーは起き上がる。オサキ・マックラーの気配は消えていた。辺りを探るが、やはり、気配はない。まずはそのことに、ホッとして改めて辺りを見ると。 先の侍従が、うつ伏せに倒れている。指がかすかに動いたから、生きているようだ。安堵の息を漏らす。 「たいへんでしたね、キララ」 愛しい娘の名を呼ぶ。だが、返事はない。 「キララ?」 辺りを見回す。姿が見えない。 「キララ、キララ!?」 立ち上がり、名を呼びながら、姿をサガすが、見当たらない。 まさか、今の魔法嵐(マジック・ストーム)に巻き込まれて……! 最悪の予感に、気が狂いそうになった時。 何か、涼やかな気配がした。振り返ると。 クリスタル盤の前に浮くようにして、一人の少女の姿がある。ファン・タ・シー・キングダムの王家でも、一般のものでもない、不思議な装束の少女は、静かに言った。 『大丈夫、王女は生きているわ』 「……え?」 少女は微笑んでうなずく。 『ここの防御魔法が彼女を護ったの。ただ、今の魔法嵐で力場が乱れたから、どこかに転送されてしまったかも知れない。そして、それがどこかは、わからない』 不思議と説得力のある言葉だった。 「あなたは、誰?」 問うと、少女は答えた。 『私は○リキュア』 「……え? まさか、かつてファン・タ・シー・キングダムを護ったという、伝説の戦士……?」 少女がうなずく。 一体、どういうことなのだろう? ファン・タ・シー・キングダムの危機を察知して、復活したというのだろうか? なら、もっと早く来てくれたら良かったのに。 そんなことを思い、何気なく、クリスタル盤を見る。 「……! ホープ・ジュエルが……!」 はめこまれていたホープ・ジュエルが、すべて消えていたのだ! もしかすると、今の魔法嵐のせいだろうか? 「あああ、なんてこと……」 全身から力が抜け、へたり込む。マーブ・シーに○リキュアが言った。 『七つの内、バイオレット・アメジストは、私の手にあります』 と、○リキュアが手に持った紫色の光を見せる。 『インディゴ・サファイアも、私の仲間、○ュアパラディンが、手にしたはず』 ということは、二つは無事、ということだ。 「では、あとの五つは?」 『もう一人の○リキュア……シャーマンが追いましたが、見失ったようです。どうやら、人間界に紛れたようです』 「……人間界に?」 ○リキュアがうなずく。 『人間界のマップはありますか?』 「え、ええ……」 マーブ・シーは魔法で、人間界の地図を呼び出す。だが、それは。
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