町を流しながら、アイ・スクリームは呟いた。 「この間は、結局、コードックへの贈り物、見繕うの忘れてたのよね。ティア・ドロップ様も、あんなに怒ることないのに」 そして、辺りを見ている時だった。 「……ふうん、いい色、出してるじゃない」 そして、ゼツボーグ・アルノミーを生みだした。
あたりが闇色に染められていく。 「遅れてゴメン!」 愛望からの電話を受け、祖父に適当な言い訳をして(あっちの方をサガしてくる、のようなことを言った)、駆けつけると、四人が揃っていた。愛望と祈璃は図書館で、エミィと友希は歴史資料館で調べ物をしていたのだという。 夢華はゼツボーグを見上げる。全高は十五メートルほどだろうか。白い体に鎧兜、顔には三つの黒い穴。目と思しきところから、絶えず黒い涙のようなものが流れている。 『ゼツボォォォォォォォォォグ・アルノミィィィィィィィィィ!』 夢華は呟いた。 「あの強いヤツだ……! でも!」 そして、スクエアミラーをかざした。
強敵だった。攻撃が通用しないだけではない、このゼツボーグは全身武器の塊、と言ってもいい。右手にはミサイル砲があり、その威力は辺りを闇に変えるだけでなく、○リキュアたちを吹っ飛ばす。左手の巨腕は怪力で、ナイトたちを握りつぶしそうなほどだ。 地に倒れ、ナイトたちは苦しい息の元、ゼツボーグ・アルノミーを見上げる。 ウィッカが呟いた。 「……強い」 クレリックの癒やしの力も、間に合わない。当のクレリック自身が、荒い息をついて、膝と両手をついている。 アーチャーが弓を構えた時、ゼツボーグ・アルノミーの足から突起が現れ、その突起でアーチャーを蹴り飛ばす。 絶叫し、アーチャーは地に転がる。ダンサーが立ち上がり、跳躍してキックを放とうとしたが、ゼツボーグ・アルノミーの背中から大砲が現れ、黒く濁った擲弾(てきだん)を放った。 擲弾の爆発が収まった時、爆煙からダンサーが墜落し、光の粒子がばらけるように、ダンサーの「鎧」がほどけ、祈璃に戻る。 ナイトが吠えながら、向かうが、右腕のミサイルの集中砲火をよけきれず、吹っ飛ばされた。「鎧」がほどけ、変身前の服が再構築されて、夢華が地に転がる。 ゼツボーグ・アルノミーの胸部装甲が左右に展開し、そこから、黒い粒子ビームが照射される。ウィッカ、クレリック、アーチャーも、エミィ、愛望、友希に戻った。 『ゼツボォォォォォォォォォグ・アルノミィィィィィィィィィ!』 ゼツボーグ・アルノミーが咆哮した。
「アーッハッハッハッハッハッ! 今度こそ、おしまいね、○リキュア!」 ゼツボーグ・アルノミーの前に立ち、アイ・スクリームが宣告する。どうにか、片膝立ちになり、夢華が言った。 「……まだまだ……。負けて、たまるか……」 他の四人も起き上がる。 「往生際の悪いこと。ゼツボーグ・アルノミー、とどめ、刺してしまいなさい」 『ゼツボォォォォォォォォォグ・アルノミィィィィィィィィィ!』 ゼツボーグ・アルノミーが咆哮した時。
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